好きな給食1位との調査も…なぜ『揚げパン』は名古屋市立の学校で出されないのか 市教委から“2つの理由”
揚げパンはでなかったという声も多くありました。 東海3県の県庁所在地では、名古屋市は出されず、岐阜市や津市では出されているということです。
■名古屋の公立学校で「揚げパン」が出されない理由
名古屋市の公立小学校の給食には、子供たちに人気のメニュー「揚げパン」は出されたことはわかりません。教育委員会に聞くと、2つの理由がありました。 1つは、バランスの良い給食にするためです。市の基準に「1回の給食で摂取エネルギーに占める脂肪エネルギーを40%未満にする」というものがあり、油を多く含む揚げパンを献立に入れると、メニューが、組み立てにくくなってしまうからということです。
もう1つの理由は「手間」です。名古屋市では、給食を各学校で作っているため、揚げて砂糖をまぶす“揚げパン”は、手間と時間がかかり、間に合わなくなるためとしています。
■揚げパンの発祥は約70年前…小学生のために調理師が考えた“愛”
ひと手間かかる揚げパンですが、誕生した背景には子供たちのための愛に満ちたひと手間だったことがわかりました。 揚げパンが生まれたのは、東京都大田区の嶺町(みねまち)小学校です。 昭和27年(1952年)ごろ、インフルエンザで休む児童が多く、栄養をつけてもらうために、欠席した子供に友達がパンを届けてあげる慣習がありました。 しかし給食で出されていたコッペパンは乾燥しやすく、すぐに固くなってしまいます。
そこで調理師の篠原常吉(つねきち)さんが考え、固くならないようにコッペパンを油で揚げて表面に砂糖をまぶす=「揚げパン」を開発して乾燥を防ぐことに成功し、子供たちにおいしいパンを届けてあげることができたということです。
今も大田区の給食の名物として、揚げパンは提供されています。
■“揚げパン専門店”も登場…昭和と違いお洒落に進化
揚げパンは今、再注目されています。2024年4月にオープンした愛知県日進市の「洒落CAFE(シャレカフェ)」は、揚げパン専門のカフェです。
厨房では、コッペパンがサラダ油の中へ投入され、片面を2分ずつ揚げて、いい色になっていました。