激しい抗議や怒声も…チャールズ国王、がん診断後初の本格的な海外公務へ
10月18日から26日(現地時間)まで行われた、チャールズ国王&カミラ王妃のオーストラリアとサモアへのロイヤルツアー。国王ががんと診断されてから初の本格的な海外公務となったため、大いに期待と関心が寄せられました。 【写真】チャールズ国王、卵を投げつけられる ここでは、今回のツアーのポイントやハイライトを振り返ってみましょう。
国王即位後、初の訪問
チャールズ国王が英国外の英連邦国を訪問するのは国王即位後初めてのことで、憲法上においても重要な外遊となりました。 国家元首がオーストラリアを訪れたのは、エリザベス女王が2011年に訪問して以来初のことで、サモアでは、チャールズ国王が英連邦の首長として初めて英連邦首脳会議に出席しました。
抗議や論争も
華やかで明るいムードの裏には、抗議や論争もありました。オーストラリアでは、英王室との関係を断ち切りたいと考える人々が声を上げ、サモアでは過去の奴隷制に対する賠償問題について英連邦諸国から圧力を受けました。 国王の言葉にもあるように、オーストラリア国内だけでなく、英連邦全体でも過去と未来に関する重要な議論が交わされています。世論調査によると、オーストラリアでは英国の君主を国家元首とする立憲君主制の継続について、意見が分かれています。
またキャンベラ訪問時には、先住民アボリジニにルーツのあるリディア・ソープ上院議員(写真)に怒声を浴びせられ、予期せぬ強い反対意見に直面するシーンも。 「あなたは私の国王ではない」と叫び、ジェノサイド(大量虐殺)を非難したソープ議員の発言は、他のオーストラリアの政治家や、先住民の長老アンティー・バイオレット・シェリダン氏からも非難されました。しかし、彼女の抗議は世界的な議論を巻き起こし、今回のロイヤルツアーでも特に注目を集めた出来事となりました。
翌日、国立先住民エクセレンス・センターを訪れた際は、長老のアラン・マレー氏から丁重なもてなしを受けましたが、同氏は国王に対しこう伝えました。 「私たちには語るべきストーリーがあり、昨日国王もキャンベラでそのストーリーに直面されたかと思います。その過去は揺るぎないものであり、我々が望む主権が認められるまでには、まだ長い道のりがあります」 また、英国の共和制支持の活動団体もオーストラリアを訪れ、国会議事堂の外で小規模な抗議活動を行いました。 サモアでは、英国が大西洋奴隷貿易の賠償金を支払うべきかどうかについての論議が湧き上がるなか、チャールズ国王は英連邦首脳会議(CHOGM)に出席。非難の矛先は主に英国政府に向けられましたが、英連邦の首長としての国王の演説は注目を集めました。
From TOWN&COUNTRY