韓国開発研「政局不安による家計・企業の心理萎縮、朴槿恵政権当時より深刻」
最近の政局不安による家計・企業の経済心理萎縮が過去の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾政局よりも深刻だと、国策研究機関が警告した。 韓国開発研究院(KDI)は8日、今年1月の経済動向を発表し、「最近の韓国経済は生産増加傾向が鈍化し、景気の回復が遅れる中、不確実性拡大による経済心理萎縮で景気の下方リスクが増大する状況」と明らかにした。昨年1月の発表(「半導体を中心に景気不振が徐々に緩和」など)と比べて新年最初の診断が明確に否定的に変わった。 KDIは経済心理が萎縮する主な理由に国内政治状況を選んだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が先月3日に非常戒厳を宣言した後に解除して以降、弾劾政局を迎えているからだ。KDIが経済動向を発表しながら政治変数に言及するのは異例だ。それだけ現状況を深刻に見ているということだ。 過去の朴槿恵大統領弾劾政局よりも最近の家計・企業の心理萎縮がさらに深刻だと、KDIは説明した。消費者心理指数は2016年10月(102.7)から2017年1月(93.3)までの3カ月間に9.4ポイント下落した。ところが最近は昨年11月(100.7)から12月(88.4)までの1カ月間に12.3ポイントも落ちた。消費者心理指数は100より高ければ長期平均より楽観的で、100より低ければ悲観的という意味だ。朴槿恵大統領当時と比較して最近の景気は良くないため、家計と企業が政治変数にさらに敏感に反応していると解釈される。 ただ、金融市場は相対的に安定した姿を維持していると、KDIは評価した。弾劾事態の以前と以後(韓国ウォン最安値基準)を比較すると、米ドルに対する韓国ウォンの価値は2016-17年に7%ほど下落したが、昨年末から今年初めにかけては5%程度の下落にとどまったからだ。金融当局が迅速に市場安定化措置を取った効果があったと分析される。また海外では今回の事態を国内より深刻に眺めていないという評価もある。 KDIは内需景気全般について「建設業を中心に微弱な流れ」と説明した。建設業生産は先月まで前月比で7カ月連続減少している。建設業が他の産業生産の基盤の役割をするという点では深刻性が大きい。産業研究院は2日の報告書で「沈滞局面に入った韓国経済が一日も早く回復するためには、関連産業への波及効果が大きい建設投資を拡大しなければいけない」と提案した。建設業に5兆ウォンを投資すれば、製造業など関連産業全体に5兆580億ウォン規模の生産を誘発し、全産業で5万4000人ほどの雇用を創出する効果が期待されると説明しながらだ。 希望が感じられるのは、建設業生産の先行指標である建設受注が公共部門を中心に改善傾向にある点だ。また、KDIは「半導体生産・輸出の強い増加傾向が続き、景気下方圧力を緩和している」と伝えた。 この日、KDIは住宅市場について「家計貸出規制による需要の鈍化で売買価格の上昇幅が縮小した」と診断した。住宅供給の先行指標である住宅着工と住宅許認可が減少傾向である点については「首都圏を中心に今後住宅供給が不足する可能性を示唆する」と指摘した。このほか世界経済についてKDIは「緩やかな成長が続くと予想される」としながらも「米国の政策不確実性、地政学的リスクなどが制約要因として作用する可能性がある」と明らかにした。