笹生優花が自ら受付に立つ“手弁当”のレッスン会開催 父・正和氏が日本のジュニア大会で「ひどくショックを受けた」こととは?
「可能な限り、次もできたらなと思います」
頑張ったら成果が得られることを子どもに実感させることは、楽しくゴルフをさせる上でとても大事だと、父・正和氏は強調する。 「フィリピンでは、1位から3位はトロフィー、4位と5位はメダルがもらえる大会を探しては、優花を出場させて、賞を受け取る楽しさや喜びを味わわせました。試合で、あんな簡単なパットをなぜ外したのかと子どもを叱るのではなく、日ごろのパット練習のうちから『これを入れたらジュース飲んでいいよ』『これ外したら、ゴハンは食べていいけど、おかずナシね』みたいなゲームに変えてあげると、子どもは自ずと一生懸命になるし、何よりのメンタル強化になります」
子どもの自主性や自発性を引き出し、楽しく取り組ませてきた父・正和氏の指導方針は、この日の笹生のジュニア指導の中にも多々見て取ることができた。 たとえば、1メートルほど先に細い棒を立て、その棒にボールをコツンと当てるつもりでチップショットを打つ練習は、その典型だった。腕自慢のジュニアが次々にトライしたが、なかなか棒に当たらない。そのたびに笹生は楽しそうに笑いながら「当たらないよね?」を繰り返し、そう言われた子どもたちは、どんどん必死の形相へ。 そこには、楽しさとひたむきさ、自分で頑張る自主性が自ずと生まれ、「笹生優花が目指す、笹生優花ならではのジュニアイベント・ワールド」が創出されていた。 「YUKA MEET & GREET」は、今後も継続される様子だが、さらに父・正和氏は米ゴルフ界でジュニア育成に尽力しているアニカ・ソレンスタムやAJGA(全米ジュニアゴルフ協会)などとのコラボレーションを図り、「日米ジュニアの対抗戦なども、できたらいい」と、構想を膨らませている。 ともあれ、極寒の1日に、4度目の開催となった「YUKA MEET&GREET」を終えた笹生は、達成感と安堵に溢れた表情だった。 「すごく楽しかったです。良い1日になったのではないかなと思います。可能な限り、次もできたらなと思います」 最初から最後まで「楽しさ」にこだわった笹生は、日本のジュニアゴルフを引き上げる最高のアンバサダーである。 文・舩越園子 ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。
舩越園子(ゴルフジャーナリスト)