昭和特撮ファンも評価…Netflixでリブートが決定した『ガス人間第一号』が傑作とされる理由
昭和特撮ファンから高く評価される一作
小栗旬さん、蒼井優さん主演によるNetflixシリーズ『ガス人間』という新作ドラマシリーズの製作が、2024年8月初旬に発表されました。エグゼクティブプロデューサーおよび脚本には、同じくNetflix配信のドラマ『寄生獣 ―ザ・グレイ―』などのヨン・サンホさんで、明らかにアジア市場・世界市場を見据えた製作体制で、企画・製作サイドの気合いのほどがうかがえます。 【画像】えっ、美人過ぎ! こちらが『ガス人間第一号』に出演した「若かりし頃の八千草薫」です それはそれとして、この『ガス人間』なる妙なタイトルはなんなのでしょうか? 発表された内容によると、ドラマ『ガス人間』は、昔の東宝映画「変身人間シリーズ」の1本である『ガス人間第一号』という映画をリブートしたものとのこと。「変身人間」と聞いても、昭和特撮ファン以外の人(つまりほとんどの視聴者)にはわけが分からないはず。ドラマのスタッフ、キャストのメジャー感からすると、どうも不釣り合いな感じも……。 本稿では、新作Netflixシリーズ『ガス人間』の元ネタである昔の東宝SF特撮映画『ガス人間第一号』とはどんなものかを解説しつつ、さらに今回のリブート企画についても考察してみましょう。 まず、「変身人間シリーズ」について。「変身」と聞くと、主人公がヒーローにでも変身するのか? と現代人なら反射的に思ってしまうかもしれませんが、このシリーズはそういうものではありません。『美女と液体人間』(1958年)は人間が液状に、『電送人間』『ガス人間第一号』(ともに1960年)は電波とガス状に「変身」します(タイトルそのままですね……)。この「変身人間」が、犯罪サスペンス/スリラーのカギとなる、というのがシリーズ3本に共通するプロットとなります(SF特撮といっても宇宙人や怪獣は出ないわけです)。 実は、東宝の同種のSF特撮映画はけっこう数があって、どれがこのシリーズに入るかは諸説あったりしますが、現在一般的にいわれているラインナップは、上述の3本となっています。 このシリーズのなかでも、今回リブートされる『ガス人間第一号』は古来より昭和特撮ファンから高く評価されており、第1作目の『ゴジラ』(1954年)以降の東宝特撮全盛期を支えた田中友幸(製作)、本多猪四郎(監督)、円谷英二(特技監督)の黄金トリオによる傑作のひとつとされています。 なぜ、『ガス人間第一号』が傑作とされているのか? これについては、いくつかの理由があると考えられます。