ブラジル中銀、政策金利10.5%に据え置き-緩和サイクル停止
(ブルームバーグ): ブラジル中央銀行は19日、政策金利(SELIC)を10.5%に据え置くことを決めたと発表した。インフレ見通しが悪化した中、1年近くにわたる金融緩和サイクルを中断し、借り入れコストを安定させる姿勢を示した。
政策金利の決定は全会一致だった。ブルームバーグのエコノミスト調査では、2会合連続となる0.25ポイント利下げを2人が予想していたが、それ以外の全員は据え置きを見込んでいた。前回会合までの合計利下げ幅は3.25ポイントだった。
中銀は声明で、不透明な国際環境や底堅い国内経済、政策委員会のインフレ見通し上昇、消費者物価見通しの悪化を理由に利下げを「中断」することを決定したと説明した。
「ディスインフレのプロセスとインフレ期待の目標付近への定着をいずれも確固たるものとするため、金融政策は十分な時間にわたり景気抑制的であり続けるべきだ」と指摘。政策委メンバーは引き続き警戒を怠らないとし、「将来の金利変更の可能性は、インフレ目標達成への確固たるコミットメントによって決まる」と記した。
今回の全会一致の決定は、中銀のインフレ対策に懐疑的になっていた多くの投資家を安心させそうだ。5月の利下げ決定はメンバーの意見が分かれていた。インフレ対策への疑念や公共支出増加への懸念から消費者物価見通しは大幅に悪化した。
ルラ大統領は借り入れコストやインフレ目標が高過ぎるとして金融政策への批判を強めており、カンポス・ネト中銀総裁の任期が今年で終われば、金融市場の動揺に「影響を受けず」成長に焦点を当てた総裁を探すと述べている。
ルラ大統領は、年内に中銀の次期総裁と政策委新メンバー2人を指名する予定で、中銀に対する大統領の影響力が強まる。
5月の利下げ決定ではルラ氏が指名した4人のメンバーがより大幅な利下げを支持して、0.25ポイントの利下げには反対したことから、ブラジル資産は売られた。
アナリストらは2026年まで消費者物価指数(CPI)上昇率が目標を上回ると見ており、トレーダーは年内の利上げを織り込んでいる。5月のCPIはサービスコストの回復を背景に前年同月比3.93%上昇に加速した。