【Bリーグ開幕特集 宇都宮ブレックス】昨シーズンのロスターに一切の死角なし?前代未聞のU22枠選手の補強のみで優勝を狙う!
積極補強が不要の理由をスタッツから読み解く
新加入選手は宇都宮にとって初のU22枠契約となる石川裕大のみで、四家魁人を除く13名が継続。これらが意味するのは、このロスターで充分優勝が狙えると判断したからに他ならない。その決断は妥当なものであったのか、2022-23シーズンと2023-24シーズンのスタッツを比較してその根拠を考察したいと思う。 まずはオフェンシブレーティング(100回攻撃した場合の平均得点)がリーグ14位と低迷し、課題となっていたオフェンスから見てみよう。長らく宇都宮の武器であったオフェンスリバウンド獲得率はリーグ5位(32.9%)から12位(30.4%)まで下降したものの、3ポイント決定率はリーグ9位(33.9%)から3位(36.2%)、2ポイント決定率も23位(49.2%)から3位(56.1%)とジャンプアップし、eFG%(3ポイントを含めた実質シュート決定率)はリーグ20位(49.7%)から1位(55.3%)へ躍進。戦略も変化しており、3ポイントシュートを試投した割合はリーグ10位(35.6%)からリーグ1位(44.7%)に増えている。オフェンシブレーティングはリーグ3位(116.3)に急上昇し、3ポイントチームへ生まれ変わることで課題を克服していた。 伝統的とするディフェンスはどう変化したのか。結論から言ってしまうと、ディフェンシブレーティング(100回攻撃された場合の平均失点)はリーグ9位(106.3)から1位(99.1)と上昇し、リーグで最も強固なディフェンスチームへと進化した。相手チームに打たれたショットの割合に大きな変化は見られないが、被3ポイント決定率はリーグワースト9位(33.6%)からリーグ2位(30.7%)まで大きく向上している。これはヘルプ、スイッチ、ローテーションなどのチームディフェンスが強化され、相手チームの得点を効果的に抑え込んでいることを意味している。加えて、相手のターンオーバー割合がリーグ16位(16.5%)からリーグ8位(17.9%)へ増加していることも、これらを補完している。 オフェンシブレーティングとディフェンシブレーティングを総合的に評価したネットレーティングはリーグ1位の17.23。スタッツ上では優勝の大本命と言えるシーズンを送っており、積極的な補強が不要というチームの決断を裏付けるものとなっている。 【注目選手】 D.J・ニュービル 言わずと知れた2023-24シーズンMVPで、帰化選手のギャビン・エドワーズを最大限に生かすリーグ有数のスコアリングガード。左コーナーを除くエリアでの3ポイントシュートは平均41%と非常に高確率。ペイントエリアに侵入すれば62%の決定率でシュートを決めることができる。USG%(その選手のシュートorターンオーバーで攻撃が終わった割合)は約19.5%と高い数値を残しているにもかかわらず、得点期待値(1回の攻撃で獲得できる平均得点)が1を超える稀有な選手。ちなみに、USG%がニュービルと同程度かもしくは高く、得点期待値が1を超えるB1所属選手はショーン・ロング、アンソニー・クレモンズ、ダバンテ・ガードナーの3選手のみである。 高島紳司 2022-23シーズンに特別指定選手として宇都宮へ入団し、39試合出場、6試合で2桁得点を記録するなど存在感を示した期待の若手選手。その強みは何といっても高確率な3ポイントシュート。特に両コーナーからの決定率は右コーナー42.1%、左コーナー37.5%とリーグトップクラスだ。コーナーでキックアウトパスを待つだけではなく、高島選手用のセットオフェンスも用意されていることからチームからの信頼もうかがえる。シューティングガード登録でありながらスモールフォワードタイプの外国籍選手を守れる、長いウィングスパンを利用したディフェンスにも注目だ。
しんたろう