元ストリーマー・夢野あかり&初の研究生組・紡木こかげ 『RAGE VALORANT』に挑むぶいすぽっ!メンバーたちを掘り下げる
ぶいすぽっ!初 研究生からのデビューを果たした期待の新人・紡木こかげ
夢野あかりがチームリーダーを務めるなかで、ファンも大いに期待する“とんでもない新人”がデビューを果たした。2024年3月19日にデビューしたばかりの紡木(つむぎ)こかげである。 彼女はぶいすぽっ!にとって記念すべき20人目となるメンバーであり、2023年に実施を発表していた研修生制度から初めてデビューを果たしたメンバーとなった。 ビジュアルを見ていくと、瑠璃色の髪色で首まで伸ばしたミディアムボブ、水色のフーディーに白色のショート丈オーバーオール、濃い青のソックスに水色の厚底スニーカーを履き、淡い印象を与えてくれる。細めの声色には初々しさやナイーブさすら感じられ、そのビジュアルにピッタリだ。 そんな彼女が他のぶいすぽっ!メンバーと現状に異なる部分は、配信時間にある。多くのメンバーが夕方から夜、深夜にかけて配信をスタートさせるのに対し、紡木は主に昼~午後の時間帯に配信をスタートさせ、4時間前後で配信を終えることが多い。 そんな彼女の配信には、初回からさまざまなコメントが送られており、答えやすそうなコメントから丁寧に答えてきた。昨日食べたものや好きな食べ物といったグルメ、ゲーム・マンガ・アニメなどの話題から、音楽・映画・芸能人などのエンタメ、日常生活を過ごすなかで見たハプニングまで、幅広く答えていく。 そんななかで、「厨二病だった」「銃のスキンを選ぶのが好き」「たぶん人間としてめんどくさいタイプ、察してほしいタイプ」「実は『Minecraft』にハマりすぎた影響で学校に行かなかった時期がある」など自身の生い立ちについても語り、さまざまな話題でリスナーとの信頼関係を築こうとしている最中にある。 リスナーのコメントを受けて答えるだけでなく、そこから派生して話題をコロコロと変えながらトークしていくことが多い彼女だが、話題の移り変わりが激しすぎる瞬間もあり「話の振り幅がエグい」とコメントされるほどだ。いまのところ『VALORANT』を中心にしてゲーム配信をしているが、RPGなどの時間をかけて進行していくゲームをプレイすれば、より彼女の多彩な表情がみれるかもしれない。 逆に、度の過ぎたセクハラコメントや対戦中にひどいチャットやボイスチャットを受けた場合は、一呼吸置いて苦言を呈したり、そのやり取りをみて他のリスナーが熱くなってしまった場合はそちらを諌めたりと、デビューしてすぐとは思えぬほどに冷静な対応をしてみせているのも印象的だ。「あまり言ってなかったけど、あたしはキモいコメントに厳しいからね」と口にしており、節度を持ったコメントを求めている。 クリーンな声色に初々しさを感じさせるワードチョイスなどから、小雀ととや藍沢エマの後を継ぐ「ぶいすぽっ!次世代の清楚枠」とみるファンの評価もある。とはいえ、喜怒哀楽を隠すことなくはしゃいだり怒ったりする無邪気な一面、苛立ちや悲しさを抑えつつ言葉を選びながら伝えようとする誠実さも持ち合わせている。 また、『VALORANT』の配信で使われるマップ隠しには自身が描いた「口が3」になった似顔絵を使っていたりするなど、ちょっとしたユーモアを挟もうとするお茶目な一面もある。清楚、無邪気さ、誠実さを併せ持つ彼女は、リスナーの間で愛らしい存在として広まっていきそうだ。 そんな彼女を応援しようとするファンは後を絶たない。デビューして2日ほどでYouTubeチャンネル登録者数は10万人を超え、3月26日には早々と登録者数15万人を突破。 記事執筆段階でも18万人を超えており、20万人まで目前となっている。同時視聴者数もおおよそ8000人前後、時間帯では1万人を超えることが多く、「デビュー直後」という盛り上がりのなかでしっかりと自身の存在を広めることに成功しているといえよう。 ■FPS歴は脅威の約12年 新人ながら先輩らを驚かせるスキルを見せる 記事掲載時点でまだデビューして1ヶ月も経過しておらず、そうしたなかでもすでに大きな支持を得ている状況にある紡木こかげ。ここまでは性格や配信スタイルなどについて触れてきた。 彼女の真価は、ぶいすぽっ!の先輩らをも驚かせる驚異的なFPSゲーム歴と、その経験に裏打ちされたゲームスキルにある。初配信において示されたFPS歴の数々をザっと書き出してみよう。 〈過去にプレイしたFPSゲームと最高ランク〉 『Alliance of Valiant Arms(AVA)』:スター(レート2200↑) 『Overwatch』:グランドマスター 『Overwatch2』:マスター3 『VALORANT』:イモータル3 『Apex Legends』:マスター おおよその来歴として、『Counter-Strike Online』『AVA』『Overwatch』『PUBG』『Apex Legends』『VALORANT』などをプレイしており、FPS歴は通算で約12年ほどと語ったのだ。 初配信前にぶいすぽっ!ファンが感じていたビジュアルやイメージとは裏腹な、かなりの凄腕FPSゲーマーという期待と疑いの目が同時に生まれたのは言うまでもない。 それを証明するように翌日から現在に至るまで毎日のようにソロで『VALORANT』のランクマッチ配信をしており、認定戦を終えた段階でプラチナからダイヤモンドへと飛び級、そのままジワジワとランクを上げ続けた結果、4月12日早朝にイモータルランクへと到達。VTuber~バーチャルタレントとしてデビューを果たしてから、わずか24日ほどで達成してしまったのだ。 配信最後には「最終的にはイモータル3にいって維持したい」という志高い言葉も飛び出したが、その高い力を遺憾なく発揮していけば、実現してしまいそうである。 『VALORANT』の得意なロールはイニシエーター(索敵や妨害などのアビリティを使って味方をサポートするロール)であり、なかでもソーヴァをメインにプレイしてきたと語っていた。 イニシエーターは相手をキルするのに終始するのではなく、味方の攻撃をサポートするために自身のアビリティをどう使うかや、いくつもあるマップの理解度が求められるロールだ。なにより味方の動きに合わせて動く必要があり、「キルもできてサポートもできる」という動きを極めようとすると、立ち回りの難しさに四苦八苦するロールでもある。 それもパーティを組まずにソロでプレイするとなると、他のソロプレイヤーとボイスチャットで会話し、即興でスキルを合わせるなどのアドリブ力が求められてくる。 ここで、チームメイトの猫汰つなによる紡木こかげ評を記してみよう。 「わたしとこかげちゃんは同じイニシエーターをよくプレイしているけど、スタイルがぜんぜん違う。あたしのソーヴァはフルパーティや大会に合わせたプレイなんだけど、こかげちゃんはソロをやってきたタイプだったと言ってて、ソロでも活躍できるようなプレイをしてる」 「あたしの配信を見て『ソーヴァのプレイを参考にします!』というコメントが送られてくるけど、あたしのはフルパで勝てるような立ち回りのプレイだから、真似しないほうがいいと言ってた。ソロでソーヴァをプレイする人は、こかげちゃんのプレイを参考にしたほうが良い」 「デュエリストを使う人はうーん……となっちゃうかもしれないけど、ソロでイニシエーターをプレイしてランクをあげようとすると、スキルを早めに全部使っちゃって撃ち合いに参加しちゃうか、自分のためにスキルを全部使ってキルしていくかの2択になっちゃう。むしろそうしないと味方頼りになっちゃうんだよね」 「もしもあたしの立ち回りをソロでやろうとすると、味方のデュエリストに完全に頼ってしまうソーヴァになっちゃう。味方のデュエリストが強ければ勝てて、弱ければ負ける、完全運ゲーになっちゃう。それは、味方を信用するしない以前の話になるんだよね。」 味方のスキルやプレイングをみながら、「勝てそうにない」とみれば自分がキルを積極的に取っていこうとするスタンス。ともすれば非情で利己的にも見えるかもしれないが、FPSに限らず、このような認定マッチのあるゲームを長年プレイしてきた人が、勝利を目指すためにたどり着く効率的な考えだろう。 ちなみに猫汰つなも『Apex Legends』でマスターランク、『VALORANT』ではイモータルランクに達しており、グループ内外にその実力が知られているFPS強者なのだが、ほかにも「ウチにはできない立ち回りをしている。勉強になる」「撃ち合いのタイミングがスゴイ」とこかげを称賛している。 ところで、ぶいすぽっ!ではオーディション時に先輩プレイヤーとオーディション受講生が一緒にゲームプレイをし、その資質を見極めるという“ゲーム面接”が存在する。じつは紡木のオーディション時にゲーム面接の面接官を務めたのが、他でもない猫汰なのだ。この時点で、目を引くプレイスキルを披露していたのは想像にがたくない。 今回の大会でぶいすぽっ!メンバーと初めてパーティを組んで練習しているが、「ソロプレイが多いと言ってたけど、全く違和感ややりづらさがなかった」と本人・チームメイト共に実感し、早々とチームに溶け込んだ。 くわえて全体練習をスタートするまえに毎メンバー6人+コーチのXQQを加えたデスマッチをプレイすると、毎回1位もしくは上位を獲得しており、リーダーである夢野あかりからは「またこかげちゃんの壁が……」と意識されるほど。 このマッチモードでは各キャラクターのアビリティ(特殊能力)は使えないため、純粋な撃ち合い勝負になるが、紡木の実力を知れるワンシーンではないかと思う。 逆に微笑ましいシーンとしては、デビュー直後ということもあり先輩らとあまり会話することがなかったのだろう、1万人近い視聴者を前に先輩と会話すること自体にプレッシャーや緊張が伴い、全員で会話している途中でミュート状態にして「ヤバイ、会話に入れない……」とリスナーに語りかけるなど、ドギマギするシーンが何度かあったことだ。 その後は練習を重ねるうちに、先輩との距離感が徐々に近くなり、緊張感も溶けていく様子が見られるなど、「紡木こかげ」というタレントがぶいすぽっ!というグループに様々な意味で調和していく、その様子を楽しめる配信にもなっている。 歴戦のFPS歴にくわえて、『VALORANT』の高レベル帯での撃ち合いと研鑽を続けてきた期待のニューカーマーとして、ぶいすぽっ!ファン並びにその外側のフィールドへ、彼女の名前は徐々に広まっていきそうだ。
草野虹