【毎日書評】意識高い系は、なぜ搾取ビジネスにハマりやすいのか?
「情報弱者」と「意識高い系」はハマりやすい
著者は本書において、「裏を取る」ことの重要性を強調しています。理由は、搾取ビジネスにハマってしまう人には「情報弱者」と「意識高い系」が多く、両者とも裏を取ることが少ないから。なお、両者には共通点があるそう。 まず、「情報弱者」とされる対象の特徴は以下のとおりだといいます。 ① ちゃんと調べない ② 見聞きしたことを疑わない ③ 入手する情報が偏っている ④ すぐによさそうな話に飛びつく (52~53ページより) 一方、「意識高い系」の特徴は次のとおり。 ① 勉強量が膨大 ② 得た知識をすぐに披露する ③ セミナーや勉強会、オンラインサロンなどに積極的に参加 ④ 向上心がある (53ページより) まったく違っているようにも思えますが、よく見くらべてみるとわかることがあるようです。 ① 勉強量が膨大→つねに情報や知識を吸収→(量が多すぎて)ちゃんと調べていない ② 得た知識をすぐに披露する→知識や情報を信じやすい→見聞きしたことを疑わない ③ セミナーなどに積極的に参加→入手する情報が偏る ④ 向上心がある→今よりもよくなりたい→すぐによさそうな話に飛びつく (153ページより) 「自分もあてはまる」という方もいらっしゃるでしょうが、それでも問題はないと著者はいいます。なぜなら大切なのは、自分を知ったうえで対策を練ることだから。 そして、なにより有効な対策が「裏を取ること」だというのです。(152ページより)
なぜ「情報の精査」ができないのか
近年はインターネットの普及やスマートフォンの発展により、誰でも膨大な情報にアクセスできるようになりました。にもかかわらず、情報を精査する、すなわち裏を取る人や頻度が減ってしまったと著者は指摘しています。 なぜなら多くの人が、情報が膨大であればあるほど、それぞれの分野については専門家に従う方が効率的だと考えるようになってしまったから。これは、「権威性に従ってしまう」ことや「要約思考に陥っている」ことなどの複合的な課題であるようです。 つまり我々は、無意識のうちにメディア(発信者)や、専門家の出すものに反応するだけの「お客さん」の立場になりがちなのです。 信頼できるメディアや専門家ばかりなら、それでもいいのかもしれません。 しかし、実際は「メディアの皮を被った搾取ビジネス」や「専門家の皮を被った搾取ビジネス」があふれている。だからこそ、積極的に情報は精査するという「情報の裏取り」が重要になります。(160ページより) シンプルにまとめるなら、「情報の精査」の方法は、「複数箇所から情報を得て、比較検討する」ということ。ことばにすれば簡単そうですが、私たちは意外と「情報の精査」ができないのだそうです。 これまでの学校教育では「調べる」→「情報を一歩引いて検討する」→「比較し分析する」→「本質を推察する」ということを重視してきませんでした。 学校教育の指導要領は、情報量が膨大でないころのものが、いまだにベースになっているからです(そもそも今30代後半以降の方であれば、ネットやスマホが登場する前に学校教育を受けていたでしょう)。(161ページより) もちろん、高校や大学に行き、なんらかの職に就けば、その分野についてのノウハウはつくもの。しかし、そこから離れたものとなると、「なにを拠り所にすればいいのかわからない」状態に陥りがちだということ。だからこそ、「裏を取る力」を身につけておく必要があるのです。(160ページより) このあと本書では、「裏を取る力」を身につけるための具体的な方法が紹介されていきます。搾取ビジネスを見極める目を養うために、ぜひとも参考にしたいところです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: 秀和システム
印南敦史