【毎日書評】意識高い系は、なぜ搾取ビジネスにハマりやすいのか?
『できる社長のお金の守り方 オイシイ話はなぜ稼げないのか』(服部真和 著、秀和システム)の著者は本書の冒頭で、有名な童話「アリとキリギリス」を引き合いに出しながら、「生まれた時点でアリはアリで、キリギリスはキリギリス」なのだと指摘しています。 アリがいいのか、キリギリスがいいのかという話の前に、そもそも自分はどちらで生まれてきたのかが重要です。そして、ほとんどの人はアリとして生きます。 ですが世の中には、アリとしてどのように生きるかを考えないといけない相手に「キリギリスとして幸せに生きられる」というオイシイ話をふりまいて陥れ、相手のお金や労力を搾取する輩が存在します(童話の最後でキリギリスがどうなったのか、という話を忘れている人も多いのですが……)。 あるいは、相手の労力や時間、お金を「価値が低いもの」と引き換えに巻き上げる輩がいます。 アリが本来、労力や財を尽くすべき相手(女王アリ)でもないのに、そのように錯覚させて搾取する輩です。(「はじめに」より) つまり外見だけは似ているけれど、じつのところそういうタイプはまったく別種だということ。そこで本書では、そういった“有害のシロアリのような輩”の行為を「搾取ビジネス」と位置づけ、「人を陥れる輩」「人生を迷わせる輩」に惑わされないための考え方や方法を明らかにしているのです。 ちなみに著者は、これまで1000人を超える経営者に対して1500以上の新規ビジネスの立ち上げを支援してきたという行政書士、コンサルタント。その過程では、搾取ビジネスの被害に遭いそうな人に注意喚起を繰り返してきたそうです。 つまり本書のバックグラウンドには、著者がそうした活動によって身につけたバックグラウンドがあるわけです。きょうはそのなかから、第4章「情報収集は慎重に確実に。油断すると誰でもカモられる」内の「カモは『自分がカモ』だと気づかない」に注目してみることにしましょう。