やりたいことが見つからないのは、むしろ''自然''? 多様な大人や企業との交流が、学生の新たな一歩を後押しする
人材育成にこそ、大学や社会の未来がある
関西大学では他にも、大学内の知見と企業の開発力や事業力を組み合わせてイノベーションを生み出すことを目的として、2016年にイノベーション創出センターを設立。学内の研究成果を生かして事業を興す研究開発型の大学発スタートアップの創出を目指し、起業支援プログラムを実施している。また、人材育成の観点から、学生が自分の興味がある分野ややりたいことを見つけるきっかけとなるよう、若手起業家を招いた講演会を開催したり、新規事業などの取組みに積極的な企業を訪問する企業見学会などを行なっている。 同センターでセンター長を務める石川正司教授は、大学が人材育成に注力する重要性をこう強調する。 「私自身は蓄電池の研究に長く携わってきました。この分野において、日本はかつて世界のトップを走っていましたが、今となっては中国や韓国などが業界を牽引する存在になっています。こうした社会情勢からもわかるように、残念ながら日本の競争力は年々衰えてきている。大学としてこの現状を変えていくためには、自身の熱意や興味をもとにイノベーションを興し、行動する人材を育てることが最も重要だと考えています」 今、やりたいことや夢中になれるものがないことは、問題ではない。まずは自分の興味や関心を、焦らずに時間をかけて探っていくこと。そしてそれが見つかったら、周囲の様々な立場の人の知見や経験を借りながら行動を重ねることができれば、次第に自分の「好き」や「やりたい」が目に見える形に育っていくのだ。
取材:三菱電機イベントスクエア METoA Ginza "from VOICE"