SOMPO、事故車オークション会社を売却 系列色薄めて上場目指す
SOMPOホールディングス(HD)で、デジタル事業を統括するSOMPOライトボルテックス(東京・新宿)が、事故車を主体とする自動車ネットオークション子会社、SOMPOオークス(同)の株式66.7%を1日、投資ファンドのアント・キャピタル・パートナーズ(東京・千代田)に譲渡した。 【関連画像】事故車に限らず、自動車の再利用プラットフォームを目指す(SOMPOオークスのサイトで車両情報を表示した画面) アントはオークスの経営改革後に他社には売却せず、上場させることでライトボルテックス側と合意している。一方でライトボルテックスはアントへの売却後も残りの株式は保持し続ける予定だ。オークスの上場後にはアントの株式保有比率が大幅に低下するため、ライトボルテックスは再び、筆頭株主に戻る見通し。将来はオークスへの経営関与度をさらに高めていく可能性もある。 事故車を含めた中古車の売買がインターネット主体となる中、オークスをさらに成長させるためにあえて投資ファンドの傘下に入れて事業基盤を拡大させつつ、SOMPOグループとの関係も維持する狙い。大企業系が手掛けるM&A(合併・買収)としては極めて珍しい形態となる。 ●オークション参加者を拡大 「SOMPOオークスは(修理業者や解体業者などが参加する事故車などの)売買市場を運営する会社として、上位3社に入るまでになった。だが、さらに大きく育てるには、系列色を薄め、投資ファンドの改革ノウハウを入れて、経営を強化した方がいいと考えた」 SOMPOHDのグループCDO(最高デジタル責任者)・執行役専務で、ライトボルテックス会長CEO(最高経営責任者)の楢崎浩一氏は、今回のM&Aで新たなスキームを採用した狙いについてこう明かす。 オークスは2017年9月に設立された。事故で全損した場合、損害保険会社から所有者に保険金が給付されると、車の所有権は損保側に移る。従来はそれを解体業者などに個別に売却するなどしていたが、SOMPOHDはデジタル事業拡大の一環として、オークションシステムを構築し、ビジネスに乗り出した。