SOMPO、事故車オークション会社を売却 系列色薄めて上場目指す
23年には年間で約5万台相当が同社のオークション市場で売買され、参加事業者数は述べ20万社以上になったという。参加事業者は、事故車を修理して売買するか、分解して部品化し、販売する。海外の事業者も多く参加し、「最終的には約8割が輸出に回る」(SOMPOオークス)と見られる。 オークス以外にも同様のネットオークション市場はある。オークスは、他の市場ともネットワークをつなぐことで、参加事業者の利便性を高めてきた。既に売上高は100億円超に達し、経常利益率も二桁を超える規模になっている。ただ、もう一段の事業成長を目指すには、出品者の業種をリース会社などにも拡大させる一方、参加事業者もさらに増やす必要があった。 SOMPO同様、もともと保険金を給付する各損保グループには事故車が集まりやすい。そこで、オークスのSOMPO色を薄めることで、同業他社などより幅広い企業が参加しやすい市場に変えていく必要があった。そこで中古車販売大手などの経営改革で実績があるアントの力を借りることにしたという。ライトボルテックスの保有比率を、定款変更や取締役の解任、企業の合併・解散など特別事項の拒否権を持てない33.3%にとどめたのも、その考えを明確にするためという。 ●新たなプラットフォームを育てる ただ、楢崎氏の野望にはさらに先がある。「事故車に限らず、自動車の再利用に向けたプラットフォームを作りたい」。目指すのは、車種や年式ごとに異なる車の部品が、どの程度回収され、市場でいくらで取引されているかといった情報を集約することで、中古パーツを効率的に流通させるためのリサイクルプラットフォームの構築だ。 その中で、例えばある車種の中古部品を集めて自動車を組み上げるといった新しいリサイクルの形態も模索する。ソフト系の企業を含め、より多くの企業や業種の力を糾合することも、独特のスキームの狙いの一つとなっている。
田村 賢司