ネパールだけじゃない こんなにある世界の地震頻発地帯
海のプレートが陸に沈み込む場所
さて、メイン図に戻って、ヨーロッパからアフリカプレートをぐるっと囲むように、太平洋や大西洋、インド洋の中に長く続く地震帯が明瞭に見えます。ここではマントルから新しくプレートが生まれて、両側へ広がっているところです。ときどき大地震が起きますが、陸から離れているので被害はほとんどありません。唯一例外はアイスランドでここでは陸域で活発な火山噴火とともに地震も起きています。 次に、海のプレートが陸(日本のような島だけでなく大陸のプレート)の下へ滑り込むようなところでの地震です。日本で起こる地震の多くはこのパターンで、環太平洋のほとんどの所がこのタイプの地震が起きています。南米チリ沖では、観測史上世界最大の1960年チリ地震(図中8=M9.5、世界で5700人、日本で142人)が起きています。そこから中米、メキシコまで続き、少し飛び離れてアラスカからアリューシャン列島、カムチャッカ、千島列島、東日本、伊豆・小笠原、マリアナと続きます。そして、ニューギニアから東に連なる諸島にそってニュージーランドまで。またインド洋では、インド・オーストラリアプレートが2004年スマトラ地震(図中9=M9.0、22万7898人)の震源域から東の所はインドネシアの下へ滑り込んでいます。 スマトラ地震の北側とその西側(ネパール地震のところ)はプレートが衝突しているので後で説明します。ほかにもフィリピンは東側からフィリピン海プレートが、西側から南シナ海がフィリピン諸島の下へ滑り込んでおり、それらの境界面で地震が起きています。ギリシャ周辺で起きる地震も南側のアフリカプレートがギリシャの下へ滑り込むために起きています。
大陸プレート同士が衝突する場所
隣り合う大陸プレート同士が衝突している場所にも、地震が頻発します。今回のネパール地震もその一つです。ここでは、大きな大陸を乗せたインド・オーストラリアプレートが、やはり大きな大陸プレートであるユーラシアプレートにぶつかっているのです。そのため押し込まれたチベット側に広大な高原がひろがり、非常に高いヒマラヤ山脈が出来ました。このプレート境界付近では近年地震活動が特に活発で、2005年カシミール地震(図中10=M7.7、8万6000人以上)のほか、押し込まれたチベット高原側でも2008年四川地震(図中11=M8.1、7万人近く)、2010年青海地震(図中12=M7.0、2220人)などが起きています。 古くは1556年中国陜西省華県地震(図中13=M8.2)で、なんと83万人の犠牲者が出たとされています。この活動は、中央アジアからイラン、イラクへ続きます。耐震性の低い煉瓦住宅が多いところでは、2003年イラン・バム地震(図中14=M6.8、4万3200人)のように中規模の地震でも大きな被害を引き起こします。規模は小さいのですが、台湾もまた衝突型のプレート境界の一つに挙げられます。1999年集集地震(図中15=M7.7、2413人)は台湾の中央部で起きました。 一方、押し込んでいる側のインドでは、限られた場所ですが大地震が起きます。2001年インド・ブジュ地震(図中16=M8.0、2万人余)がその例です。