ネパールだけじゃない こんなにある世界の地震頻発地帯
プレート同士が横にずれる場所
隣合うプレート同士が横にずれ合う境界でも地震が起きます。この例は米国カリフォルニアやトルコ、ニュージーランドなどです。代表的な地震は1906年サンフランシスコ地震(図中17=M8.3、700人または3000人)で、北米プレートに対して南西側の太平洋プレートが北西へ動き、サンフランシスコに大きな被害をもたらしました。カナダのバンクーバー島から北側の大平洋沿岸もこの型の地震が起きています。1999年トルコ・コジャエリ地震(図中18=M7.8、1万7118人)では北アナトリア断層の一部が震源断層になりましたが、ここでは1960年代から東の方から順次地震が起きてきていて、現在はイスタンブールの南にあるマルマラ海の部分が未破壊域で残っていると考えられています。大地震が将来起きる可能性の高い場所なので注意が必要です。 このほかカリブ海プレートが北米プレートに対して東に動いて起きた2010年ハイチ地震(図中19=M7.3、31万6000人)もあります。南米大陸側のベネズエラでも1812年に地震(図中20=M6.3、2万人)が起きています。ニュージーランドの2011年クライストチャーチ地震(図中21)は、プレート境界ではなく東側の太平洋プレートの端の陸域で起きたものでM6.3と規模は大きくありませんでしたが、都市直下に震源があったため日本人28人を含む185人の犠牲者が出ています。 ヨーロッパはユーラシアプレートの西部で、南にアフリカプレートがあり、両者の間はアルプス山脈からアフリカ大陸北岸の間で複雑なプレート境界になっています。この地域も大地震がときどき起こり、大きな被害を出しています。例えば、イタリアでは1908年メッシナ地震(図中22=M7.1、8万2000人)、アルジェリアでは1980年エルアスナム地震(図中23=M7.3、3500人)、モロッコでは1960年アガディル地震(図中25=M5.7、1万3100人)、そして1755年リスボン地震(図中25=M8.5、6万2000人)はジブラルタル海峡より西方沖で起きています。例外的にルーマニアでは、震源が深い1977年バレンシア地震(図中26=M7.2、1581人)で被害が出ています。 (静岡大学防災総合センター客員教授・石川有三)
■石川有三(いしかわ・ゆうぞう) 京都大学理学研究科博士課程中退、中国地震局地球物理研究所に1年留学、気象庁入庁後、気象研究所地震火山研究部主任研究官、研究室長、精密地震観測室長、地磁気観測所長を歴任。1990年運輸大臣賞受賞。現在は、国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門招聘研究員。静岡大学防災総合センター客員教授も兼務。専門は、地震学・地震予知