市川團十郎、赤穂浪士ゆかりの泉岳寺で成功祈願「日本人と忠臣蔵の距離を縮めたい」フレッシュな座組に刺激
歌舞伎俳優の市川團十郎が10日、赤穂藩主浅野家の菩提寺として知られる東京・泉岳寺で赤穂四十七士の墓参りを行い、来年1月の新橋演舞場公演「双仮名手本三升 裏表忠臣蔵(ならべがきまねてみます うらおもてちゅうしんぐら)」(来年1月3~26日)の成功を祈願した。 天保4(1833)年に「裏表忠臣蔵」を初演した7代目團十郎の精神を受け継ぎ、当代の團十郎が「忠臣蔵」を新たな解釈で描く。大星由良之助、早野勘平、斧定九郎、高師直の4役を勤める團十郎は「昨今、日本人は『忠臣蔵』との距離が離れているので、そこを縮めたい。そして7代目團十郎の心掛けた精神を尊重して、四十七士の思いも汲(く)めるように頑張りたい」と抱負を語った。 20代、30代の多いフレッシュな座組で「こういうみなさんと舞台をつくっていくのが楽しみ。エネルギーを刺激にしていきたい」と声を弾ませた。6日に47歳の誕生日を迎え「ちょうど47で、四十七士ですね。来年は同級生の尾上菊之助くんの菊五郎襲名がありますので、歌舞伎のために貢献できる役者になれるように。プライベートでは、充実した1年にしたい」と語った。 寺岡平右衛門役の中村歌昇は「弟(中村種之助)が播磨屋のおじさま(2代目中村吉右衛門さん)から平右衛門を教わっていて、その時に一緒に教えていただきました。弟と父に教わりながら、しっかり役をつくっていきたい」。足利直義、佐藤与茂七の2役を勤める中村種之助は「今回の裏表忠臣蔵に生きる役として、勤めたいと思います」と気を引き締めた。 おかる役の中村児太郎は「六段目のおかるは勤めたことがあるんですけど、七段目は初めて。父が病気になった時に勤めていたので、感慨深いものがある。父も『一生懸命に教えたい』と言ってくれているので、その教えを聞いてチャレンジしたい」。顔世御前役の大谷廣松は「大先輩のような大きな役者さんが勤めているお役に挑戦させていただきます。とても緊張しています。物語の発端になる大事なお役なので、一生懸命に勤めたい」と意欲を見せた。 團十郎演じる大星由良之助の息子の大星力弥役を勤める中村虎之介は「父(中村扇雀)が四段目と七段目の力弥を勤めているので、父と中村梅玉のおじさまに教えていただきます」。千崎弥五郎役の中村福之助は「新年の新橋演舞場は初めて。とても楽しみな気持ちでいっぱいです」と声を弾ませ、大鷲文吾役の中村歌之助は「文吾は裏と表で活躍した人物なので、存在感を出していけたら」と力を込めた。
報知新聞社