「サイズが小さければ小さいほど高額で引き取られる」 ブリーダーが告発するペット業界の闇…規制が堂々と破られる現状とは
「飼育放棄された犬の多くは…」
「法令違反疑惑」を指摘した本誌(「週刊新潮」)に「出版差し止め請求」まで起こした「ペッツファースト」。いまだ「違反はない」との主張を崩そうとはしない同社がHPに出した見解には“大うそ”が含まれていた。さらに“利益ファースト”を示すエピソードも続々と寄せられ……。【前後編の前編】 【写真を見る】「移動中に死亡」「低血糖」「300g台の極小」など気になる文言が記載された内部資料 ***
ペット業界大手「ペッツファースト」の企業理念は「Pets always come first」だという。しかし本誌でこれまでに報じた同社に関する「疑惑」は、その理念とは大きくかけ離れたものであった。 動物愛護管理法で定められている、生後56日以下の犬猫の展示・販売を禁じる「8週齢規制」。ペッツファーストがこの法令に違反している疑いがある、との情報に接した本誌は、子犬生育の専門家の協力を得て同社の店舗を調査。すると、8週齢を過ぎていない可能性がある子犬が展示・販売されている例が複数見つかったのだ。 「生後56日、8週齢以下で母犬から引き離されると、無駄ぼえやかみ癖などの問題行動が多くなったり、虚弱体質になりやすい」(さる獣医師) それ故、飼い主に“飼いにくい”と思われ、飼育放棄につながる恐れが増すのだ。 また、極めて小さく幼い子犬を店頭で抱っこさせられると、本来はペットを飼ってはいけないような人までもが“私が守ってあげないと”と思い込んでしまう。そうしたミスマッチも飼育放棄の原因に。そして飼育放棄された犬の多くは、殺処分される運命にある。
「法令違反ではない」と主張するが……
8週齢を過ぎていない可能性がある、と子犬生育の専門家が指摘した複数の子犬について本誌がペッツファーストに取材を申し込んだところ、寄せられたのは“いずれも8週齢を超えている”との回答だった。その上、同社は驚くべき行動に出た。なんと、本誌8月15・22日号の発売直前、「出版・販売等の差し止めを求める仮処分」を東京地裁に申し立てたのだ。そこで同社側は、子犬が装着しているマイクロチップに記載された生年月日を元に、法令違反はないと主張。しかし昨年、環境省が行ったブリーダーなどへの一斉検査で、マイクロチップに記載された生年月日そのものが改ざんされている疑いが浮上したことは、ペット業界では知らぬ者のない事実である。法令違反を指摘され、マイクロチップの生年月日を持ち出してくること自体、「認識不足」であるといえよう。 最終的に同社は仮処分の申し立てを取り下げ、本誌は無事に流通することに。その後同社のHPには、 〈子犬に対する組織的な日齢偽装の疑い〉 〈殺処分につながるミスマッチを煽るような接客〉 これらは〈事実と大きく異なるため、強く否定〉する、との見解が掲載された。
【関連記事】
- 【後編を読む】「“小さいうちに売った方が子犬のため”と発言」「“なんで客を帰した”と叱責」 ペット業界大手のブラック体質を関係者が告発
- 動物保護ハウスを経営する坂上忍が「ペットショップの犬・猫大量生産」に思うこと 「世界から見ても恥なのに変わらない現実」とどう立ち向かうべきか
- 元従業員が告発 ペットショップ「クーアンドリク」の「ゴキブリだらけの繁殖場」で死んでいく子犬たち 杉本彩氏は「大量生産ありきで命を軽視している」
- ペット業界大手「ペッツファースト」が法令違反か 「出生日偽装」疑惑を専門家が覆面調査すると“驚きの実態”が
- ペットショップ「クーアンドリク」の杜撰すぎる契約書 「広告の3万3250円がなぜ…」「断ったはずの生命保障制度に加入させられていた」