「サイズが小さければ小さいほど高額で引き取られる」 ブリーダーが告発するペット業界の闇…規制が堂々と破られる現状とは
「ブリーダーが言えば、それが生年月日」
しかし、〈ミスマッチを煽るような接客〉は、本誌記者が調査のために訪れた店舗で身をもって“体験”した事実である。無論、その時のやり取りは録音している。一方の〈日齢偽装〉、すなわち8週齢規制違反については、記事が世に出た後、同社と取り引きしていたブリーダーから重要な証言がメールで寄せられた。 〈子犬を(ペッツファーストが)引き取る際は、「歯が生えているか」「体重が350g超えているか」が基準で、生年月日は関係ありません。当時の担当者からは「自分達は本当の生年月日を知らないし、ブリーダーさんが○日に生まれた、と言えば、それが生年月日だから」と言われていました〉 取引時に正確な生年月日を確認していなかった、というのである。 〈知人は今もペッツファーストと取引がありますが、現在も、サイズ(体重)が小さければ小さい程高額で引き取られています。その為、当方の子犬生後57日時点での小型犬平均体重(700―1200g程)であれば、~5万円程か、引き取って貰えないはずです〉 〈ブリーダーなら、見ただけで大体の月齢が分かるはずですが、ペッツファーストのHPを見ると、生後40―45日前後の子犬が多いように見受けられます。知人は先日、「生後30日過ぎたから、引き取りに来て貰う」と言っていました〉
「大うそ」の数字を堂々とHPで公開
このメールについてペッツファーストに聞くと、 〈どれも不確かな伝聞によるものです。当方としては貴社の指摘を否定します〉 とのことだった。 同社がHPに出した見解には、本誌が“8週齢を過ぎていない可能性がある”と指摘した子犬の出荷元であるブリーダーに関する記述もあった。 〈2名のブリーダーは、過去1年で合わせて300頭以上の取引がありましたが、当社においての死亡事故などの発生は2名とも0頭0%であり、(中略)サイズが小さくても一切の死亡事故が発生していないことは、当社にとっても理想的なペットの発育状況であると判断できます〉 しかし、ペッツファーストの従業員のみが見られる社内報を本誌が独自に入手して集計したところ、この2名のブリーダーから仕入れた子犬の死亡事故が1年間で6件発生していることが判明。つまり、「大うそ」の数字を堂々とHPで公開したことになるのだ。
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