ハチマル de オープンスタイル【1】北米使用をもとにスペシャリストが造ったオープンカー
シリーズ:ハチマル de オープンスタイル【1】 1995年式 ホンダ バラードスポーツ CRX(国内初度登録年) 【画像18枚】日本のライトウエイトスポーツを米国のコーチビルダーがオープン化 自動車のボディを製作したり架装することを業とするコーチビルダー。日本ではイマイチなじみが薄いが、欧米では多数の会社が存在し、さまざまなスペシャルモデルが造られている。リチャード・ストラマン率いるアメリカのコーチビルダー「ストラマン」は、フェラーリやメルセデス・ベンツ、ロールス・ロイスなども手掛けてきたオープンカーのスペシャリスト。この日本ではまずお目にかかれないバラードスポーツCR‐Xのコンバーチブルも、同社が製作した1台だ。ちなみに、日本では「CR‐X」だが海外では「CRX」が正式車名のため、本稿では取材車両を「CRX」と表記している。 さて、このストラマンが製作したCRXコンバーチブルは、北米仕様をベースにルーフ部分をバッサリとカットし、トランク部分を新たに作成。ソフトトップの開閉はもちろん手動だが、フレームの作りもしっかりとしており、左右のロックを外すだけでルーフの開閉が可能。さらにルーフ部分をカットすることでボディの剛性低下が心配されるが、そこはボディ下部に補強を入れて対処している。また、新たに製作されたトランク部分は、グラスファイバーを貼り合わせたと思われるリッドを採用。ボディとのラインも絶妙で、メーカーにラインナップしていたと感じさせるほどのクオリティーだ。ちなみにソフトトップはシート後部に格納されるので、トランクスペースはつねに十分な容量を確保している。 オーナーが手にして約18年。ドライブやイベントの時には「せっかくなので、屋根を開けて乗ることが多いですね」とオープンカーを満喫している 国内仕様との違いは、ハンドルの位置だけでなくエンジンにも及んでいる。国内仕様にも1.5ℓモデルは存在するが、それはインジェクション式のEW型。しかし北米仕様はキャブレター式で、ワンダーシビックの「25R」に搭載されていたのと同じユニットとなる。 そして取材車両は、オーナーの好みで無限のエアロパーツを装着。レフトハンダーのオープンボディで目立ち度満点のはずだが、無限エアロでさらに注目度アップというわけだ。加えてマフラーも無限製が装着されており、これはオーナーが歴代の愛車に装着してきたものだという。 そんな世界で1台しかないであろう無限PRO仕様のCRXコンバーチブルのオーナーは、これが自身6台目のCR‐Xで最初の愛車は親戚から譲り受けたSi。当時それほどクルマに詳しくなかったオーナーは、「小さくて乗りやすく、キビキビ走るな」と感じた程度だった。しかし乗っているうちに、クイックなハンドリングが病みつきになり、その魅力に引き込まれていった。 そしてコンバーチブルは、2000年に入手。当初はその存在すら知らなかったが、これを逃したらもう二度と手に入らないだろうと考えて即購入。その時点ではボディカラーがホワイトで後期マスクだったが、2002年に複数台所有していたCR‐Xを1台に絞るため、無限仕様の個体からエアロパーツを移植してブルーメタリックにオールペイント。現在のカタチになったというわけだ。 ちなみにオーナーは「左ハンドルのオープンカーに乗りたかったので、結果的に大好きなCR‐Xでそれを実現することができて大満足です」と話す。オーナーの手もとにきてから約18年。エアコンこそ故障しているものの大きなトラブルはなく、今後もオープンエアーを満喫していくだろう。 1995年式 (国内初度登録年) ホンダ バラードスポーツCR-X 1.5i(AF) 主要諸元 Specifications 全長×全幅×全高(㎜) 3675×1625×1290 ホイールベース(㎜) 2200 トレッド前/後(㎜) 1400/1415 車両重量(㎏) 800 エンジン型式 EW型 エンジン種類 直列4気筒SOHC 総排気量(cc) 1488 ボア×ストローク(㎜)74.0×86.5 圧縮比 8.7:1 最高出力(ps/rpm) 110/5800 最大トルク(㎏-m/rpm) 13.8/4500 変速比 1速2.916/2速1.764/3速1.181/4速0.846/5速0.714/後退2.916 最終減速比 4.428 ステアリング ラック&ピニオン サスペンション前/後 ストラット/トレーリングリンク ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク リーディングトレーリング タイヤ 175/70R13(前後とも) 発売当時価格 138.0万円(サンルーフ仕様) 注:取材車両が北米仕様のため83年式1.5iのデータを掲載 初出:ハチマルヒーロー vol.49 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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