クミコ、「岩谷時子賞」で特別賞受賞 シャンソン歌手として初の快挙「これまでの道筋が間違っていなかった証」
歌手、クミコ(70)が「第13回岩谷時子賞」で特別賞を受賞したことが18日、発表された。名作詞家、岩谷時子さんの遺志を継ぎ、音楽・演劇界に貢献した人物・団体に贈られる賞。シャンソン歌手の受賞は創設以来初めてで「これまでの道筋が間違っていなかった証のようで、ポンと後ろから背中を押されたような気持ちがします」と喜んでいる。 2024年はシャンソン歌手として大人気だった越路吹雪さんの生誕100年という記念の年。マネジャーだった岩谷さんが越路さんのため、急遽「愛の讃歌」の日本語詞を書いたことが彼女の作詞家としてのデビューとなった。 クミコはシャンソンイヤーの今年7月、越路さんの名曲「愛の讃歌」や「アプレ・トワ」などを新録音したアルバム「私の好きなシャンソンVol.2~シャンソンティックな歌たち~」発売し、話題に。10月にはNHK「のど自慢」などに出演し、クミコが生まれた茨城・水戸市で「愛の讃歌」を披露。同じ週に松田美由紀、松村雄基、安蘭けいらさまざまな背景を持つ幅広い世代のアーティストたちと開催した「ニッポン・シャンソンコンサート」は大盛況となった。 「愛の讃歌」「アプレ・トワ」などの岩谷さんの訳詞の歌を継いできたことが評価されての特別賞受賞。クミコは「私にとって岩谷時子さんは、越路吹雪さんと一心同体の相棒。越路さんの歌うシャンソンはどれも岩谷さんの言葉ですが、実に耳馴染みが良く、でも、奥深い。その代表曲『愛の讃歌』は、若い頃から歌ってきましたが、やっと自分なりに歌えるようになったのは最近です。シャンソン歌手として、このような賞を頂くことは、これまでの道筋が間違っていなかった証のようで、ポンと後ろから背中を押されたような気持ちがします。本当にありがとうございます」と感激している。 また、クミコの受賞を受け、音楽評論家の安倍寧氏と湯川れい子氏がコメントを寄せた。 生前の岩谷さん、越路さんと交流があった安倍は「この豊かで奥の深い歌いぶりはどこでどうして手に入れたのか。越路吹雪の超名唱でつとに有名な岩谷時子の歌詞が新たな生命力を得たかのように脈々と波打っている。きっと岩谷さんもコーちゃんも向うの世界で大喜びしていますよ。クミコさん、おめでとうございます」と祝福。 クミコとも親交が深く、作詞も提供している湯川さんは「クミコさんが銀座の銀巴里に出演するようになって43年。岩谷先生の名訳詞で『愛の讃歌』を歌い続けてこられました。歌唱の深い魅力と、人気の高さにおいても、クミコさんの右に出る人は、フランスにも日本にも、他には存在しないと確信しています」とたたえた。