老舗百貨店・井上本店の閉店セール始まる 名残惜しむ常連客ら次々と 長野県松本市
来年3月末に閉店する老舗百貨店・井上の本店(長野県松本市深志2)で6日、閉店セール第1弾が始まった。秋冬物の衣類や食器、宝飾類など多くの商品が12日まで割引となり、買い求める人たちでにぎわっている。松本市内からデパートがなくなることに対し、来店客からは不便さや寂しさを訴える声が聞かれた。 開店の午前10時前には10人ほどが待っていた。「10%OFF」「20~30%OFF」「50%OFF」などコーナーごと割引率が表示された。衣料品売り場では、今シーズンのセーターやジャケットなども安くなった。 松本市中央3の瀬原田幸子さん(82)は「井上は高いと言う人もいるけれど、物が違う。洗濯をしても変わらず、20年間も着続けている。歩いて来られ、生活の一部だったのに」と惜しんだ。新村の女性(79)は内田の友人女性(75)と井上で毎月落ち合い、買い物とランチを楽しんでいる。「4月からどうしよう。寂しい」と残念がった。 1歳の長女と訪れた安曇野市の女性(31)は、「大きな無料駐車場があるアイシティ21(東筑摩郡山形村)によく行く。アイシティを充実させていくというので、これからの井上に期待したい」と話していた。 上嶋保店長は「駅前に移転して45年、感謝の気持ちを込めたセール。ブランド物も多く割引になっているので来店してほしい」と呼び掛けている。11月末に第2弾セールを行う。松本の街の歴史を振り返る写真展なども予定し、正月の福袋は例年以上に力を入れる。 本店は昭和54(1979)年、松本市大手2(六九町)から松本駅前の現在地に移転した。45年が経過し、配管などの老朽化が進み応急的な修繕だけでは維持が難しくなったため閉店し、アイシティ21に経営資源を集中させる。
市民タイムス