生活保護家庭“夏休み”のリアル。酷暑でもエアコンは「極力使いません」ズボンは穴が開いても買い替えられず
毎年、夏になると子育てをする困窮世帯に注目が集まる。今年は物価高や光熱費の値上げで、前例のない厳しさに直面している家庭も少なくない。あるシングルマザーの家族を取材した。 ⇒【写真】キッチンの片隅にはフードバンクの食料が並ぶ
小中学生のいる困窮世帯の約6割が夏休みの廃止や短縮を希望
子供たちにとって楽しみであるはずの夏休みだが、困窮世帯では事情が異なる。 貧困問題に取り組むNPO「キッズドア」が行った困窮世帯へのアンケートによると、小中学生のいる世帯の約6割が夏休みの廃止や短縮を希望しているという。理由の第1位は「子供が家にいると生活費がかかる」から。食費などが増え、家計負担が一気に重くなるためである。 今年は物価高が直撃し、昨年より厳しい夏となっている。フードバンク活動を行うフリースタイル市川の代表理事・稲村絵美里氏は言う。 「今年も申し込みが増えており、リピーターも多いですね。しかし、寄付量が例年に比べて少なくなっています。物価高により贈答品の寄付が減っていることなどが影響しているのでしょう」 同団体のもとには最近、「今すぐ食べられる食料が欲しい。助けて」といった相談も入ってきていると言うが、それだけ困窮した人が溢れているということだろう。
生活保護を受けながら2人の子供を育てるシングルマザー
こうした現状のなか、実際に夏休みを迎えている困窮家庭の声を聞くことができた。 鈴木綾子さん(仮名・35歳)は、関東のX県で生活保護を受けながら2人の子供(ともに小学校低学年)を育てているシングルマザーだ。 夫の暴力から母子シェルターに避難後、4年前に離婚。うつ状態もあったためシェルターで3年間生活。精神や生活状態が安定した後に民間アパートに転居して1年がたつ。鈴木さんのお宅にお邪魔した。 「生活保護費と手当、養育費で生活をしていますがすべて使い切る状況です。現在、社会復帰を目指してパートをしていますが、収入の一部は保護費から差し引かれるため、暮らしが楽になるわけではありません。むしろ、保護が切られてしまうと、持病のある私の医療費がかかるようになるので、不安でいっぱいです」