4分の出場も、代表デビュー戦で爪痕を残した佐々木隆成「『代表まで行ける』と信じてくれた方々の思いを背負ってプレーしました」
「僕がフォーカスしないといけないのは、自分のプレーをすること」
現状、佐々木の立ち位置は河村勇輝、富樫勇樹に次ぐ3番手ポイントガードの座をテーブス海と争っている。3番手はワールドカップ2023の西田優大であり、前日のテーブスの起用法を見れば1番と2番をこなせるコンボガードの役割を求められる。佐々木は所属する三遠ネオフェニックスで司令塔の大浦颯太との同時起用を難なくこなし、コンボカードの経験は十分にある。ただ、代表のシステムにおいてホーバスヘッドコーチは、「ケガによって(練習でも)2番でプレーするチャンスが全然なかった。今回はポイントガードだけで、まだ2番ができるかは分からない。そこをもうちょっと見たいかな」と語った。 佐々木自身はコンボカードでの起用法について「トムさんにやってと言われたらやるだけです。そこで『できません』ということはないです。僕がフォーカスしないといけないのは、自分のプレーをすることです」と、特に意識することはない。 今シーズン、佐々木は三遠の中心メンバーとして中地区優勝の原動力となり、この活躍が評価され日本代表に招集された。そして今、パリ五輪代表まであと一歩のところまできている。2021-22シーズンまでB2の熊本ヴォルターズに在籍していたことを考えれば、驚異的なステップアップだが、本人は「達成感はあまりないです」と満足することはない。だが、一方でこれまで自分を信じてくれた人たちの期待に応えられたことへの充実感はある。「熊本にいた時から本当に周りの人たちは期待してくれていて、『代表まで行ける』と信じてくれた方々もいました。そういう人たちの思いを背負ってプレーできたのは良かったです」 当時の佐々木は、代表でプレーするチャンスが来るかについて「B2の時で、B1でまだプレーしたことがなかったので半信半疑でした。B1で通用するかもわからない状態だったので、絶対にできるとは思っていませんでした」と振り返る。だが、そこからB1で活躍し、今回代表でも確かなインパクトを与えた。すでに大きな下剋上を達成している佐々木だが、さらにパリ五輪出場という大きな偉業を成し遂げられるのか。より期待が膨らむ今回のデビュー戦となった。
鈴木栄一