曺監督が重要視する「カオスの中の規律」 最下位→タイトル目前…京都、快進撃のワケ【インタビュー】
京都サンガF.C.は現在降格圏と6ポイント差をつけて残留圏内の17位
京都サンガF.C.は今季のJ1リーグ前半戦で不振にあえぎ、一時は最下位に沈んだ。しかし、後半戦に入って怒涛の巻き返しを見せ、残留ラインへと浮上。チームを率いる曺貴裁監督に復調の要因を聞いた。(取材・文=石川遼) 【実際の映像】「アツすぎる」「泣いた」 曺貴裁監督がベンチ外の選手の名前を出して“檄”を叩き込んだ瞬間 ◇ ◇ ◇ 今季は開幕から第10節までに挙げた白星がわずか2つと序盤から成績が低迷。5月には悪夢の5連敗を経験し、その間に最下位へと転落。第15節(5月19日)のサンフレッチェ広島戦ではホームで0-5と屈辱の敗北を喫した。 しかし、第16節(5月26日)の名古屋グランパス戦(1-1)で連敗を止めると、そこから直近の第33節ヴィッセル神戸戦(2-3)まで8勝5分4敗と立て直しに成功。8月の4試合では3勝を収めるなど厳しい夏場の戦いをいい形で乗り越え、残り6試合となった現在(10月19日時点)は18位のジュビロ磐田に6ポイント差をつけて残留圏内の17位に浮上している。 曺監督は「札幌さん(第32節)と神戸さん(第33節)に連敗中なので、結果的に今好調かどうかということは置いておいて」と前置きしたうえで、チーム状況は確実に上向いていると明かす。 「今年だけということではなく、選手たちに伝えていることはずっと変えていません。前半戦は勝ち切れないなかで、私が要求していることと選手のフィーリングとが少しチグハグになり、彼らがもともと持っているものがスポイル(損なわれる)されているように感じていました。その後、選手たちと話し合いながら修正したことで勝ち点はつながっていきましたが、前半戦に勝ち点がなかなか拾えない試合があったからこそ、逆に自分たちの強みは何なのか、どう戦っていくべきなのかということが整理できた時間もありました。これがベストな方法だとは言いませんが、結果的に自分たちが目指す理想型、完成形に近づくことができたのかなと思っています」 浮上のきっかけを掴んだのは、0-5の大敗を喫した広島戦直後に行われた敵地での名古屋戦。「いい意味で開き直れたところもありました。もう一度ピッチの中で何をすべきかを整理して臨まなきゃいけないということで選手たちとしっかりと意思統一をしながら練習をして、アウェーで勝ち点1を拾うことができた」。ようやく長いトンネルを抜けた先で、選手たちが自信を取り戻すのを感じたという。 とはいえ、指揮官は勝利が遠かった前半戦と、結果が出始めた後半戦でチームに劇的な変化があったとは感じていないという。勝敗の差は紙一重であり、積み上げてきたものは着実に実を結んでいる。 「よく言うのは『カオスの中の規律』。意図的にカオスを作り出した中での規律、約束事というものは自分たちの中では大事だと思っています。そこに今年だけじゃなく、ずっとアプローチして、紆余曲折しながら我々は前に進んでいる感じだと思っています。