曺監督が重要視する「カオスの中の規律」 最下位→タイトル目前…京都、快進撃のワケ【インタビュー】
チームとマッチした最強助っ人、FWラファエル・エリアスの存在
連敗している時も、あそこで得点が決まっていたら状況は違っていたよねという場面がいくつもありました。結果だけを見れば確かにそうですが、全くダメな状況から一新して良くなったというわけではない。どういう家を建てるかは決まっていたけど、木の素材の良さを生かせてなかったというような時期だったと思っています。選手が持っているものやアイディアをチームのやり方と組み合わせる時に、それまでは特徴がないバランスだったものが、特徴を消さないバランスで試合ができるようになってきました」 ここまで10試合10得点とゴールを量産中のFWラファエル・エリアスの加入もチームの勢いを大きく加速させた。曺監督は「左足のシュートやヘディングでの優れた得点感覚を持ってる選手ですが、それ以上にチームの戦術を理解する力もすごく優れている」とその能力の高さを評価した。そして一貫したアプローチでチームが成長しているところに、個の力がうまく組み合わさっていることが最も重要だと強調していた。 「実はエリアスが加入したのは札幌さんと湘南さんに連勝した後でした。チームとして右肩上がりになった状態の時にエリアスという選手が加わり、彼のいいところがチームの意図と重なり合ったと思っています。エリアスが来て何が変わったというよりは、彼がチームのやり方をしっかり理解して、アジャストしてくれたことによって彼に得点が生まれるようになったし、彼以外の選手も彼を信じてボールを預けることができるようになったというのが事実だと思っています。彼の特徴とチームの特徴がうまく合わさった。それは選手全員がそう感じてるんじゃないかなと思います」 J1リーグは残すところ6試合。首位の広島や3位の町田ゼルビアなど上位との対決も控えている。また天皇杯では準決勝へ駒を進め、タイトル獲得の可能性も残るなどすべての試合が大一番となる最終盤。55歳の名将は「最大限の準備をして一つ一つ戦っていくだけ。天皇杯という日本で最も伝統ある大会でファイナリストになれるチャンスも残っていて、それもこの前悔しい思いをして負けた神戸さんとできる。選手にとっては大きなモチベーションになる相手や状況がある。そのなかでどれだけ自分たちの成長を感じながら勝っていけるかっていうところを突き詰めていきたい。泣いても笑ってもあと2か月弱のシーズンですから、選手と一緒に後悔しないようにやっていきたいです」と意気込んでいた。
石川 遼 / Ryo Ishikawa