SAPIX講師が“脈々と”受け継ぐ「教えすぎない」の妙 算数の力を上げるために必要な「思考」と「習得」とは?
この場合と同じように、1つの問題が解けないからといってずっと教え続けられると、「面倒だな」「できたことにしちゃいたいな」といった気持ちが湧いてくるのは自然なことです。 ■問題の情報整理を手伝う意識で教える 大人は子どもに「勉強を教える」という姿勢ではなく、「問題の情報の整理を手伝う」「思考をうながす」といった接し方をすることがおすすめです。 「この部分ではどう思ったの?」 「この問題には、どんなことが書いてある?」
「ここまではわかったんだね。どこからわからなくなった?」 そうした投げかけによって、子どもが自ら思考を整理していくのを待ちます。 この調整は大変難しいですし、時間がかかるアプローチでもあります。だから、完璧にやろうと思う必要はありません。少なくとも、「一から十までは教えない」ということだけでも、大切にできるとよいでしょう。 ■大人には「待つ力」が必要! 「教えすぎない接し方」が大切なのは、算数に限ったことではありません。生活や遊びの中で、子どもの思考力は育まれていくからです。
たとえば、子どもが掃除機の使い方に困っていたら、まずは自分で試行錯誤している姿を見守りましょう。 もしも、「掃除機の使い方を教えて」と子どもから言ってきたら、「こうやってかけるといいよ。どうしてだと思う?」などと問いかけながら、思考をうながす方法も有効です。 教えすぎないように接する。 これを実現するために大人に必要なことは「待つ力」です。勉強だけでなく、生活や遊びの中でも考えるきっかけとなる「問い」を投げかけながら、子どもが自ら考える機会を設けていけるとよいでしょう。
佐藤 智 :ライター・教育コラムニスト