わずか1度の挨拶で変わった人生…プロ入り決まった“相合傘” 入団後に知った衝撃の事実
鷹、ロッテでプレーの猪本健太郎さん「ドラフトかかると思っていなかった」
ソフトバンクとロッテでプレーし、現役引退後はブルペン捕手としてソフトバンクを陰から支えた猪本健太郎氏。2023年限りで退団し、15年間過ごしたプロ野球の世界に別れを告げると、昨年9月に福岡市内で生花店をオープンさせた。「野球選手として人を笑顔にさせることはあまりできなかったけど、これからは花で幸せを運びたいですね」。柔らかな笑みで、そう語った。 【写真】「奥さま可愛い」スレンダー美人の新婦とラブラブな鷹内野手の結婚式写真 2008年育成ドラフト4位でソフトバンクに入団した猪本さん。熊本・鎮西高のスラッガーとして地元では名の通った捕手だったが、全国的には無名に近い存在だった。同級生には同年ドラフト2位でソフトバンクに指名され、巨人で昨年現役を引退した立岡宗一郎氏がいた。「立岡はポテンシャルもすごかったし、プロに行くべくして行く子やなとは思っていましたけど、自分がドラフトにかかるとは思っていなかったですね」と振り返る。 猪本氏が球団から挨拶を受けたのはわずか1度のみ。その時の行動が人生を大きく変えた。学校からバスで30分ほどの距離にある熊本県益城町のグラウンド。2008年ドラフトを控えた9月ごろ、面談に訪れたのは現在ソフトバンクのアマスカウトチーフを務める福山龍太郎氏だった。 「『プロに行けるなら、別に育成でも大丈夫です』って伝えましたね。先のことは本当に何も考えていなかったので。大学の話は全部切ったんですよ。高校を卒業したら働きたかったので、実業団に行くとか。選択肢としては実家の家業もあったので。結構、余裕こいてたんですよ」。面談を終えた時点では、「正直、手ごたえはなかったですね」という。 球場内の監督室を2人で出ると、ちょうど雨が降っていた。傘を持っていなかった福山氏に近寄ると、とっさに自分の傘を差した。駐車場までの道を「相合傘」で歩くと、車に乗り込むまで濡れないように頭上を守った。この面談後に球団のスカウトが訪れることなく、迎えたドラフトで育成指名を受け入団。しばらくして福山氏と再会した際に、衝撃の事実を聞いた。 「あの時のことにすごく感動したと言ってもらって。『高校生でこんなことできるやつはいない』みたいな。それで指名を決めたって言われて。本当のところは分からないですけど、そんなこともあるんだなって」