【薬剤師に聞く】「食欲を抑える漢方薬」は効果ある? ダイエット効果や副作用、漢方薬の正しい選び方について
最近、「食欲を抑える漢方薬」がメディアやSNSで頻繁に取り上げられて話題になっています。「漢方薬」といえば、自然由来で体に優しいイメージがありますが、ダイエットや食欲抑制の効果を持つものに副作用はないのでしょうか? 実は、漢方薬は体質に合った選び方が重要で、一歩間違えると重篤な疾患・症状が出る可能性もあります。そこで、今回は薬剤師の大田さんに、「食欲を抑える漢方薬」の具体例と選び方、体に与える影響について解説してもらいます。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
食欲を抑える漢方薬はダイエットに効果がある? 薬剤師に聞いてみた
編集部: そもそも漢方薬とはどんなものですか? 大田さん: 漢方薬の原料は生薬と言われ、草、木、動物、鉱物など自然由来のものを指します。 漢方薬の指標の一つに「気・血・水」というものがありますが、「気」とは生命エネルギー、「血」とは血液など全身の組織に栄養を与えるもの、「水」とは汗やリンパ液など血液以外の体液を指します。 この「気・血・水」3つのバランスが取れていないと不調を起こすと考えられており、漢方薬はこれらのバランスを取るよう手助けをしてくれます。もう一つ、漢方薬の重要な指標に「証」があります。 「証」には「虚証」「実証」があり、「虚証」とは体力がない、寒がり、胃腸が弱く下痢気味などが当てはまり、「実証」には体力がある、暑がり、便秘気味などが当てはまります。漢方薬はこういった指標を元に個人に合った漢方薬を選んでいきます。 編集部: 食欲を抑える漢方薬とは何ですか? 大田さん: その名の通り、食欲を抑制する漢方薬を指します。代表的なもので言えば、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」「大柴胡湯(だいさいことう)」などが挙げられます。 編集部: 例に挙げた漢方薬を飲めば、ダイエットの効果が期待できますか? 大田さん: 漢方薬により体質改善をした結果として、体重が落ちるというダイエット効果は期待できます。ですが、どれを飲んでも効果が出るという訳ではなく、漢方薬は体に合ったものを選ぶことが重要となってきます。 編集部: 選び方に何かポイントがありますか? 大田さん: 「防風通聖散」は代謝を上げて余分な脂肪を減らす効果があります。なので、お腹周りに脂肪がつき、便秘気味で脂っこい食べ物を好む「実証」タイプの人に合っていると考えられます。 「防已黄耆湯」は余分な「水」を排泄することにより水太りや浮腫みを改善する効果があります。体力が中等度以下、疲れやすく、汗のかきやすい「虚証」タイプの人に合っていると考えられます。 「大柴胡湯」は脂質代謝を改善する効果があります。これは、便秘気味でストレスを感じやすく、肥満体型である「実証」タイプの人に合っていると考えられます。