【薬剤師に聞く】「食欲を抑える漢方薬」は効果ある? ダイエット効果や副作用、漢方薬の正しい選び方について
食欲を抑える漢方薬の注意点は? 副作用はあるの?
編集部: 漢方薬に副作用はありますか? 大田さん: よく「自然由来の漢方薬は副作用がない」と思われがちですが、そんなことはありません。発疹や吐き気、下痢、動悸などの副作用が起こることがあります。ほかにも、稀に間質性肺炎、偽アルドステロン症、肝機能障害といった重大な副作用が起こることもあります。 編集部: 食欲を抑える漢方薬は妊婦でも使用できますか? 大田さん: 防風通聖散、大柴胡湯には子宮収縮効果のある大黄が含まれており、妊婦には慎重投与となっているため、自身の判断での服用は控えてください。 編集部: ほかにも注意することはありますか? 大田さん: 漢方薬をすでに服用しており、追加で食欲を抑える漢方薬を追加で服用したいと思っている人は成分の重複にも気をつける必要があります。 漢方薬の多くは甘味成分として甘草が含まれますが、1日の摂取量が7.5gとされており、過剰に摂取すると偽アルドステロン症という高血圧や低カリウム血症を呈する副作用を引き起こす可能性があります。 漢方薬の種類や数を変えたい場合は、漢方薬局などで相談するようにしましょう。
漢方薬を選ぶ際のポイントや注意点は?
編集部: 漢方薬を選ぶ際のポイントは何ですか? 大田さん: 「証」に基づいてどのタイプに当たるのか理解しておくと選びやすくなると思います。「虚証」タイプの人が「実証」タイプ向けの漢方薬を飲むと体が冷え、下痢症状を起こしやすくなるので注意しましょう。 編集部: 漢方薬を飲むタイミングはいつがいいですか? 大田さん: 漢方薬は食前、食間の服用が良いとされています。食前とは食事の30分前、食間とは食後2時間のことです。空腹時の方が効果は高いとされていますが、飲み忘れなどがある場合は食後の服用でも構いません。 編集部: 生理痛に効く漢方薬もありますか? 大田さん: 生理痛に効く漢方薬には「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などが挙げられます。 生理痛は「血」の巡りが滞っている状態と考えられており、この滞りを改善する効果があります。 編集部: 「韓方」というのも聞いたことがありますが、これは漢方薬とは違うのですか? 大田さん: 漢方薬は中国から日本に伝わり、日本で独自の発展を遂げたものをいいますが、韓方は韓国で独自の発展を遂げたものです。共通する部分は多くありますが、日本で漢方薬は厚生労働省の承認を得た医薬品であるのに対し、韓方は承認を受けていません。 韓方も簡単に入手できるようになってきましたが、日本の法律に基づいた安全性や有効性が確認されていないということを理解しておきましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 大田さん: 漢方薬を使ったダイエットは、体の乱れているところを整える作用で効果が期待できます。ですが、自然由来の漢方薬とはいえ、正しい服用でなければ副作用が起こる可能性もあるので、必ず用法用量を守り使用しましょう。