開幕は誰?阪神の新人木浪の台頭で遊撃定位置争いが激化
阪神のショートのポジション争いが激化している。矢野新監督に嬉しい悲鳴を挙げさせているのが、ドラフト3位、木浪聖也(24、honda)だ。沖縄・宜野座で21日に行われた広島との練習試合に「6番・一塁」で出場。5戦連続安打となる2安打2打点をマークしてまた存在感を示した。3年ぶりにショート復帰を宣言、この日も「3番・ショート」でスタメン出場した鳥谷敬(37)、7年目の北條史也(24)もアピールしており、開幕戦(3月29日・京セラ)のヤクルト戦で誰がショートを守るのか、わからなくなってきた。矢野監督の起用法にも注目が集まる。
木浪の器用なバットヘッドの使い方
また打った。 マウンドにはV4を狙う広島で昨季8勝のローテー投手、九里亜蓮(27)。木浪の亜細亜大時代の3年先輩でもある。1回二死満塁の先制機。木浪は臆せず、やや外よりの141キロのストレートを思い切り引っ張った。2点タイムリーである。 続く3回にも二死一塁から同じく昨季8勝の岡田明丈(25)からライト前へヒット。147キロのストレートに詰まってバットをへし折られたが、しっかりと振り切っているから、いい場所に落ちる。 これで紅白戦から実戦で5試合連続安打。「タイムリー1本で終わらない非凡さがある。一塁は大学時代にちょこっとやった程度だと聞いていたが、いろんなオプションを考えると、やっておいたほうがいい。楽しみ」と、矢野監督も絶賛した。 結果を出し続けることで「おや?」だった評価が「やるな」に変わり、今や「使えるのでは?」。矢野監督も「内野はどこでも守れるしどの打順も打てる」と想定外の新戦力を試したくて仕方がない。 矢野監督は、キャンプのテーマに「競争」を掲げていたが、こういう新人の突き上げによる“化学反応”こそが本当の競争である。 木浪は、甲子園出場経験はないが、青森山田高校時代に3年前に中日にドラフト2位で指名され新人王を獲得した京田陽太(24)と三遊間を組んでいた。木浪が三塁で京田がショート。近くで見てきた同級生が「あれだけやれるなら僕もできる」という思いが、木浪の自信の裏付けになっている。 亜大では3年春からレギュラーをつかみ、社会人に進んでからはバッティングが急成長。1年目に三塁、二塁、昨年はショートにコンバートされるなど、ユーティリティープレーヤーとして各球団のドラフトリストに挙がっていた。 現在球団本部顧問の佐野仙好・前統括スカウトも「左投手が苦手だったが、社会人で克服した。広角に打て粘り強い。阪神にあまりいないタイプ。西武の源田クラスになれる」と、高く評価していたが、早くも、その実力を発揮している。 本人は「センター返しを中心に意識している」というが、バットスイングの速さに加え、ボールの内側からバットが入る、いわゆるインサイドアウトのバットのヘッドの使い方ができる器用さがある。 ボールを点でなく、幅でとらえられるので変化球にも対応、打ち損じも少ない。フォームの軸が動かないのも特徴だ。プロのスピードへの対応が課題なのだろうが、九里、岡田が、試してきたストレートにも押し負けてはいなかった。 守備にも安定感がある。ただ足がない。これでスピードを兼ね備えていれば、ドラフト上位候補になっていただろう。ただ得点力のアップが最大の課題である阪神にとって木浪のバッティングは魅力的である。