「井上尚弥と中谷潤人が戦えばどうなる?」2人と”ガチスパー”経験のパリ五輪代表の原田周大に聞いた究極の質問の答えは?
拳を通じて2人を知る原田に無理を承知であえて比較をお願いした。 「井上さんはどんどん前へ前へと来る。それに対して、中谷さんは、ずっと動いて距離を外される。イメージで言えば、井上さんは前、中谷さんは後ろ。両者、それぞれ違うやりにくさがある。本当に甲乙つけられない」 原田の証言は、試合の展開をイメージさせる。井上がプレスをかけ、サウスポーで身長とリーチのある中谷が距離を取りながら、アウトボクシングで対応するパターンだ。 原田は「パンチの質も違う」と言う。 「中谷さんはストンとキレる。気にしているのはパンチの角度なんです。左のストレートも、真っすぐに見えて、ちょっと落とす、フック気味に打つ、など角度を変えてくる。日本人ボクサーにはない異質なパンチです。足腰が強いからあれができるんでしょうね」 中谷は、減量苦から解放されたバンタム級に上げてから3連続KO中。適正階級になったことでパンチにキレが生まれ始めている。 中谷のパンチがカミソリなら、井上のそれは爆弾だ。 「井上さんのパンチはドスンと強い衝撃で来るんです。ガードの上から打たれて倒れたボクサーもいましたよね?それもわかります。ガードの上からでもダメージがあるんです。とにかくもらいたくない(笑)」 井上は現在9試合連続KO勝利中。WBO世界スーパーフライ級王者時代の2015年12月には、初防衛戦で指名挑戦者のワーリト・パレナス(フィリピン)のガードの上から右フックを叩き込んでダウンを奪い、衝撃を与えたことがある。 モンスターの場合、繰り出すすべてのパンチがダメージブローになるのだから恐怖だ。パウンドフォーパウンドの評価を受けるのも当然だろう。 ではスピードはどちらが優れているのか? 「わかりません(笑)。2人とも速すぎて、よくパンチが見えていないんで(笑)」 スピードとパンチの出所がわかり辛いという点でも2人は共通しているという。 原田は「どちらが勝つか?」との結論は出せなかった。 「大橋ジム所属としてロス五輪までサポートをしていただけることになったので、もし対決が本当に実現するとすれば、全力で井上さんを応援します。でも中谷さんにもずっとスパーリングをしていただいた恩もあります。一ファンとして楽しみとしか言いようがありません」とした上で、こう結末だけは予想した。 「いずれにしろKO決着になると思います。どちらがその日に強いか。それだけじゃないですか」 2025年の初夢。モンスターとビッグバンの負けられない戦いが始まる。 (文責・本郷陽一/ROSNPO、スポーツタイムズ通信社)
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