【大学野球】法大戦は1勝1敗1分のタイ 立大指揮官は「総力戦で、勝ち点を取る」
課題の攻撃力アップに尽力
【9月23日】東京六大学リーグ戦 法大4-2立大(1勝1敗1分) 東京六大学リーグ戦は2勝先勝の勝ち点制。立大は今春、勝ち点1の5位も、勝ち点1としては、これ以上ない成績を収めた。 6勝8敗1分。東大には連勝し、他の4大学とは1勝2敗(慶大は1引き分け含む)。つまり、勝ち点勝負となる3、4回戦で勝ち切ることがテーマであった。心身とも相当にタフでなければ、2勝を挙げることはできない。 この秋、慶大との第1週の開幕カードで、一つのヤマを乗り越えた。立大は1回戦を先勝し、2回戦を落とし、雌雄を決する3回戦を制した。慶大からの勝ち点奪取は2016年春(立大が連勝)以来だった。 神宮で成果を出したのは、努力の賜物である。春のシーズン後、リーグ戦の数字のすべてを洗い出した。昨年11月から母校を指導する木村泰雄監督の同級生・清永健二コーチがリポートを作成。他校と比較して、何が足りないのかを学生に提示した。 単純に表に出てくる数字としては、チーム防御率はリーグ4位の2.70で、チーム打率はリーグ4位の.226。得点は15試合でリーグ5位の36、打点は同5位の33。投手陣の失点が計算でき、1試合平均の数字を見ても、攻撃力アップが課題であることは明らかであった。清永コーチは言う。 「春までは(バットを)振り込めばいい、という考えが根底にありました。フリー打撃も数をこなす。リーグ戦は、相手バッテリーとのせめぎ合いです。この夏場は、シート打撃を増やしました。いくつものケースを想定して、あとは、木村監督の戦術に沿って動く。一人ひとりの役割を明確化させました」 一般的なシート打撃は実戦を想定し、1打席で交代する。立大の場合は求められたプレーが実現できなかったら再度、チャンスを与えた。清永コーチは補足する。 「例えば、主軸打者には、タイムリーを打つ練習。その対象選手が納得するまで、成功体験を得るまで、打たせました。つなぎ役であるとか、進塁打であるとか、各々の仕事をゲーム形式の中で体に染み込ませたんです」 興味深い数字が一つある。立大は今春、シーズン95三振を喫しているが、このうち32三振はスリーアウト目。「長年、野球に携わっていると分かるんですが、次の守りに影響が出るんです」。清永コーチはかつて県立校の小山西高(栃木)を指揮した2002年夏に甲子園出場。強豪私学と互角に渡り合うチームを育ててきた実績があり、経験値から試合の流れを重視する。 打撃陣には、ここで紹介した「スリーアウト目に三振をせず、何とか出塁する」のほか、「残塁は1試合5つまで」「2ストライクに追い込まれてから、3ボールへと持ち込む」など計6つのテーマを与えた。選手としては動きやすい状況になった。チーム方針を理解した学生たちは、確かな手応えを得ている。 「とてつもなく、高い目標を設定しているわけではありません。一方で、アバウトでもない。野手が投手を育てるという側面もある。もともと能力のある選手に、どう力を発揮させるか。導いていくのが、指導者の役目。ベンチで木村監督が思い描く野球を体現できる選手を育成するのが、コーチの役割です」