【都知事選】実は「有権者」も処罰の対象に!? 有権者が注意すべき「法律違反」となる行為9選
街頭演説中の「ヤジ」にも注意
【有権者が、街頭演説で候補者に対して悪口を言う】 表現の自由があるため、街頭演説中の候補者に対してヤジを飛ばしたり、批判的な意見を言ったりしたとしても、通常、罪に問われることはありません。 ただし、公職選挙法は、選挙に関し、演説を妨害し、選挙の自由を妨害することも禁じています(公職選挙法225条2号)。そのため、選挙期間中の選挙演説や応援演説を妨害しようと、拡声器などを用い、候補者の演説が聞こえなくなるほどの音で悪口を言い続けるなどすれば、演説の妨害と評価され、「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」に処される可能性があります。 また、多くの人が集まる街頭演説中になされたヤジや悪口の中に、候補者の社会的評価を下げるような虚偽の事実が含まれていた場合、名誉毀損(きそん)罪に問われる可能性もあります(刑法230条、230条の2)。名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。事実を示さなくても、公然と人を侮辱したと評価されると、侮辱罪に問われることも考えられます(刑法231条)。 【有権者が、特定の候補者へ投票するように促す】 有権者も、選挙運動のできる期間(公示・告示日から投票日の前日まで)に、決められた方法によって、特定の候補者へ投票するよう促すなど、選挙運動をすることができます。 ただし、選挙運動の方法については、さまざまなルールがあります。例えば、有権者が電子メールで選挙運動を行うことは禁じられており、違反すれば「2年以下の禁錮または50万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法142条の4、142条、243条)。 また、誰であっても、特定の候補者に投票してもらうことを目的に、住居や会社などを戸別に訪問することは禁じられています(公職選挙法138条)。これに違反し、戸別訪問して特定候補者へ投票するように促せば、「1年以下の禁固または30万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法239条)。 【有権者が、特定の候補者が落選するように、ネット上にネガティブな情報を書き込む】 表現の自由があるため、特定の候補者を批判するようなネガティブな情報をネット上に書き込むことも許されます。 しかし、当選を得させない目的をもって候補者に関し虚偽の事項を公にしたり、事実をゆがめて公にしたりすることは禁じられており、違反すると「4年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法235条2項)。 また、候補者の社会的評価を下げるような虚偽の事実が含まれていた場合、名誉毀損罪に問われる可能性もあります(刑法230条、230条の2)。事実を示さなくても、公然と人を侮辱したと評価されると、侮辱罪に問われることも考えられます(刑法231条)。 【有権者が、特定の候補者に投票するように署名を集める】 選挙に関して、特定の人に投票するように、または投票しないようにすることを目的として、有権者に対して署名を集めることは禁じられています(公職選挙法138条の2)。これに違反すると「1年以下の禁錮または30万円以下の罰金」に処される可能性があります(公職選挙法239条)。 Q.選挙に関する行為によって、有権者が実際に逮捕された事例はあるのでしょうか。 佐藤さん「今回の東京都知事選でも、候補者の選挙ポスターを剥がしたり、落書きしたりしたとして、公職選挙法違反の容疑で逮捕者が出ています。一人は、都知事選の候補者のポスター4枚を破るなどした疑い、もう一人は、掲示板に貼られた候補者のポスター2枚にペンで落書きした疑いがもたれています」
オトナンサー編集部