「大谷豪邸報道」「ポツンと一軒家」に覚える“不安” 上空から自宅を映すことの危険性を日本人は知らない
上空から映し出された、広大な敷地にプールがついた大豪邸。屋根の上に載ったソーラーパネルや、窓辺からは室内の様子も見て取れる。これはドジャースの大谷翔平選手が購入したとされるアメリカ・ロサンゼルスにある自宅の様子だ。 【写真】「大谷豪邸報道」と同じく危ういのが 「ここまで映していいの?」とギョッとしてしまうような画像だが、これは5月22日(現地時間)に地元紙ロサンゼルス・タイムズが報道したものだ。それを受けて、日本のマスメディアも追随した特集を組み、テレビのニュース番組では現地からリポートをした。
特に大きく扱ったのが、日本テレビとフジテレビで、その放送内容は日テレの公式YouTubeにもアップされた(2024年6月14日現在、動画の内容が一部削除されている)。 この一連の報道に大谷選手が激怒し、日本テレビとフジテレビは「ドジャースから貸与されている『取材パス』を凍結され、大谷選手のマネジメントなどを行っている会社からも、『大谷の過去素材を使用しないよう』通達された」と現代ビジネスが報道した。
■「大谷豪邸報道」の何が危険なのか 大谷ほどの有名選手となると、今回の報道がなくとも「どの辺りに住んでいるらしい」と知られてしまったかもしれない。しかし、問題なのは住所がわかってしまうこと以上に、家の構造がわかってしまうことにある。 家の全容を映すことは、犯罪者からするとその構造が丸わかりになることでもある。今回の報道で流れた映像も、建築物に精通した者が見れば構造が手に取るようにわかってしまう。 例えば、これほどの大きな家の場合、住人は出入り口を使い分けていることが多い。上空から俯瞰して見ることで、普段どこを使っているのか、そしてガードマンをつけているのか(ガードマンボックスの有無)、ガードマンがいるとしたらどこにいるのかもわかってしまう。
防犯カメラについても、上空から見た場合、どこに設置されているのか確認しやすい。ドーム状のものであれば360度映るため死角は発生しづらいが、箱型の場合は死角が生まれるため、それがわかれば防犯カメラに映らない侵入口を把握することができるだろう。犯罪者にとって家の全容がわかる映像は、犯行計画を作るための絶好の材料になるのだ。 ■ロサンゼルスではセレブが狙われている 筆者は、セキュリティコンサルタントとして数カ国の日本大使館および総領事館に呼ばれ、海外安全セミナーの講師を務めてきた。昨年には、ロサンゼルスで強盗が度々発生しているとして、現地の日本総領事館で在留邦人や外交官に対しセミナーを行った。現地では昨今の治安に対し危機感を持っている。