新庄ハムはなぜ強くなったのか? 快進撃を支える若手の躍動 田宮、郡司、水野の「強み」をOB・田中幸雄氏が解説
日本ハムが交流戦に入っても快進撃を続けている。5月30日の阪神戦(甲子園)にも6-0と完封勝利。「6番・投手」で起用した山崎福也が先制適時打を放つなど、新庄剛志監督の采配も冴え、今季最多の貯金「9」と順調に勝ち星を積み重ねている。 好調の要因は何が大きいのか。今季の日本ハムをみると、投手陣は先発陣の充実、リリーフ陣の安定、さらに野手陣では新たなレギュラー候補として若手の台頭が多く見受けられている。 【動画】野手顔負けのバッティング!日ハム・山崎が先制打を放ったシーン 球団OBでファーム監督を務めた経験もある”ミスターファイターズ”として知られる田中幸雄氏も、この投打のバランスを好調の要因として見ている。 昨年までの日本ハムは、得点力が課題とされてきた。しかし、今季は先制を許してもすぐに取り返すなど、粘り強さが目立っており、接戦をものにする試合が増えている。 粘り強く戦えている点に関して「点差が離れていても、追いつけるという自信が持てているのでは」と田中氏も若手選手の自信が、逆転勝ちの多さにつながっていると見る。 そして今季のチームで存在感を示しているのは、開幕スタメンを勝ち取った水野達稀や田宮裕涼、また三塁手として存在感を示している郡司裕也など、新たなレギュラー候補たちの躍動だ。 自身初の開幕マスクを勝ち取った6年目の田宮に関しては近年、正捕手固定が課題とされたチームにおいて攻守で奮闘した姿を見せている。特に打撃面では交流戦初戦の29日の阪神戦でも3安打の猛打賞をマークするなど、現在打率「.333」、1本塁打、19打点と堂々たる成績をマーク。 実際に田中氏が本拠地の練習時に田宮に好調の要因を聞くと、「下半身で打てる感覚が分かってきました」と応えたという。下半身主導でボールを捉える感覚をつかめたことで長打含め、打撃に安定感が増したとされる。 また郡司もここまで打率「.258」、4本塁打、21打点と要所の勝負強さも光る。昨年シーズン途中に中日からトレードで移籍。すぐにファームの試合で見る機会があったとして、田中氏は「非常にバットコントロールが上手だなと。広角に打てるし、打つ方向もしっかり定まっていた」と合流当初から打撃に関しては非凡さを感じていたと話す。 プロ3年目となる水野に関しても「入ってきたときからバットがしっかり振れる選手だった」と入団時から存在感を示していたと田中氏。特に守備においては堅守が光り、1軍で活躍する現在も「全身でバットをしっかり振り切れている、パンチ力があるバッター」と評価した。 水野はキャンプは2軍スタートだったものの、キャンプ途中の紅白戦でアピールを果たすと、自身初の開幕スタメンを遊撃ポジションで勝ち取った。同一カード3連勝を飾った5月12日に行われたロッテ戦では9回に自身初のサヨナラ打をマーク、お立ち台では「これが今年のファイターズです!」と絶叫した。30日の阪神戦においても4回無死二、三塁の好機にライト前へ適時打を放った。堅守でも知られ、大事な内野の要として、存在感は増している。 今後の課題としては年間通して安定感あるパフォーマンスが残せるかといったところも出てくるだろう。ただここまでのチーム快進撃には、新たなレギュラー候補3人の活躍も大きかったことは間違いない。 2年連続最下位からの逆襲へ――。ここからさらに、定位置を奪う争いもし烈さを増してくる。着実に成長し、自信をつけている彼らの活躍も引き続き、期待したいところだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]