石破首相、トランプ氏との「ゴルフ外交」はある?「二番煎じ」回避で独自路線求める声も
4年ぶりの返り咲きを目指して米大統領選に立候補した共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は6日未明(日本時間6日午後)、フロリダ州のウエストパームビーチにあるコンベンションセンターで行われた集会に現れ、最終的な結果が確定していない中で、事実上の勝利宣言を行った。民主党のハリス副大統領(60)に選挙人獲得数で先行し、7つの激戦州でも優勢が報じられ、「米国の皆さんにとってすばらしい勝利だ。私は米国を再び偉大な国にする」と訴えた。 次期米大統領にトランプ氏が返り咲く見通しとなったことで、永田町では、石破茂首相(67)が今後、トランプ氏との間で良好な関係を築いていけるのかに関心が集まっている。 トランプ氏は、2022年に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相とは公私ともに関係を築き、「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う間柄だった。共通の趣味のゴルフを通じて関係を深めた側面もあった。安倍氏はトランプ氏が2016年大統領選で次期大統領となることが固まると、諸外国の首脳としていちはやくニューヨークのトランプタワーを訪れ、トランプ氏と面会。日本から持参した「本間ゴルフ」の最高級ドライバー(当時54万円)を贈り距離を一気に縮めた。 トランプ氏の就任後、両首脳は米国でゴルフをし、トランプ氏が2017年11月に来日した際は「霞ケ関カンツリー倶楽部」で松山英樹を交えてラウンドしたことも。「ゴルフ外交」は日米首脳の関係構築の、1つのツールとなった。 一方、石破首相は、安倍氏ほど、日ごろからゴルフに親しんでいるとはいえない。2018年自民党総裁選前の日刊スポーツのインタビューでは、1986年衆院選に29歳で初当選した直後、地元で友人と早朝ゴルフに行った際に「いい身分だね。もうゴルフかい?」と声をかけられたことを機に「(次第に)やらなくなった」と明かしていた。 ハーフのスコア40前半で回っていた時期もあると話しており、腕は確かなようだ。ただ「再び『日米ゴルフ外交』を模索しても、安倍さんの二番煎じになってしまう。本来の石破総理らしく正面からぶつかった方がいい。持ち味の理路整然で対応するのも道だ」と話す政界関係者もいる。 石破首相は首相選出後の記者会見で、トランプ氏、ハリス氏のどちらが就任しても「お話ができる状況を作らなくてはならない」と話していたが、就任直後の衆院選で敗れて少数与党に転落し、支持率も急落。大逆風下が、石破首相の現在地だ。そんな中で、キャラも押しも相当強いトランプ氏と、どう向き合っていくのか。向き合い方次第で、今後の政権運営にプラスにもなればマイナスにもなる、と見る向きもある。 石破首相は6日夜、トランプ氏の勝利宣言を受けて取材を通じ、祝意を表明した。「心からのお祝いを申し上げる。合衆国国民の民主主義の選択に敬意を表したい」と述べ、「今後、関係を密にしながら日米同盟、日米関係をさらなる高みに引き上げたい」と意欲を示した。「早急に接点を持つべく、努力したい」とも述べ、首脳会談などの日程調整に入っていることも明かした。【中山知子】