F1メカ解説|参入拒否のアンドレッティ、マシン開発は今後も継続か? 公開された風洞実験モデルに、レッドブルRB19の”影”アリ!
フロアエッジは”RB18”から?
フロアのエッジ部分についても、エッジウイングこそ明らかではないが、類似点がいくつかある。たとえば、エッジ部分がいくつかにセグメント化され、RB18と同じようにロールしているのだ。 公開された画像では、角度的にフロアの前端やフロアのフェンスのデザインを確認するのは難しい。この部分は、現行レギュレーション下では特に重要な部分であるため、比較できないのは残念である。 ただシャシーの下にはビブウイングが配置されているのがチラリと見えており、この部分でもトレンドを取り入れている。
エンジンカウルには違いも
エンジンカウルのデザインは、ロールフープ部やエアボックスの形状が、レッドブルとは明らかに異なっている。これはおそらく、ルノーのカスタマーPUを使う上で必要な要件だったということだろう。ただ、冷却システムの配置を考慮し、スペースを増やしたかっただけである可能性もあるだろう。 エンジンカウルとサイドポンツーンの間に段差が設けられているのも、現在のトレンドである。 エンジンカウル後方にある小さなシャークフィンと、細い冷却用開口部も、現行レギュレーション下で見られたモノだ。これは、マシンの冷却性能と空力性能の両方を考慮したモノといえよう。
フロントサスペンションにはプルロッドを採用
マシンの前方を見ると、フロントサスペンションにはプルロッドを採用している。それも含め、やはりレッドブルRB19と非常によく似た構成になっている。 上のウィッシュボーンは、前方アームが高く、後方アームが低い位置でシャシーに取り付けられている。これもレッドブルと同等であり、フロントの沈み込み抑制と空力効果の両方に役立つデザインであると言えるだろう。 ただ、2022年からのレギュレーションでは、マクラーレンもプルロッドを採用している。つまり、レッドブルを模倣したとは断言できないだろう。
フロント部には複数のチームのアイデアを取り入れる
フロントウイングとノーズは、複数のチームのDNAが受け継がれている。特に注目すべきは、フロントウイングの上部2枚のフラップの間に取り付けられた”スロットギャップ・セパレータ”のブラケットだろう。 メインプレーンと1枚目のフラップ、そして1枚目のフラップと2枚目のフラップは、金属製と思われる馬蹄形のブラケットで接続されている。しかし上部2枚のフラップを繋ぐブラケットは明らかに形状が異なっており、これによって気流をマシン両サイドに導くアウトウォッシュを生み出しているのだろう。 アンドレッティは、この形状のブラケットをふたつだけ使っている。2022年のアメリカGPでは、メルセデスが5つのブラケットを搭載して物議を醸した。 メルセデスは、レギュレーション違反に問われることを避けるために、当該デザインをすぐに放棄した。しかし2023年にはフェラーリがこのスタイルのブラケットを採用し、シーズン後半にはハースもこれに倣った。