社員ファースト? 「部下が上司を選択する」はアリかナシか 改めて考えたい「上司とは何か・部下とは何か」
「上司」と「部下」の定義の前に、まずは「リーダー」「マネジャー」「メンバー」の違いについて考えてみよう。ちなみに私はリーダーとマネジャーを次のように定義し、明確に線引きしている。 リーダーとは、「高い目標に向かってチャレンジしよう」「失敗してもいい、だけど最初から諦めずに挑戦しよう」など、部下のハートに火をつける役割を持っている人だ。 リード(誘導)する人だからリーダーと呼ばれる。だからリーダーにとって重要なのは、メンバーとの信頼関係である。信頼関係は情緒的なものだ。理屈ではない。これまで組織に貢献してきた実績も必要だろうし、人柄や共感力なども求められる。
いっぽうマネジャーの仕事は、目標を達成させるためにリソースを効果効率的に配分することだ。適切に調整することをマネジメントと呼ぶし、芸能タレントのマネジャーをイメージすればわかりやすい。 マネジャーは芸能タレントのような才能はなくていいし、実績も問われない。求められる役割は「リソース配分」「調整能力」である。だから適切に調整するための論理思考力が必要だ。ダンドリできる力が乏しい人はマネジャーに向かない。
■上司とは何か? 部下とは何か? 実際の現場では、「リーダーとマネジャー」「上司と部下」との関係が、しばし混在する。たとえば次の例を見てもらいたい。 【コスト削減プロジェクトチーム】 ・Aさん(経営企画部 課長):リーダー ・Bさん(専務取締役):副リーダー ・Cさん(製造部 部長):メンバー ・Dさん(営業部 課長):メンバー ・Eさん(総務部 副部長):メンバー兼マネジャー ・Fさん(総務部 課長):メンバー
このプロジェクトチームのリーダーはAさんだ。しかし役職は課長であり、メンバーたちの直属の上司ではない。Bさんは専務だから、部長であるCさんの直属の上司。EさんとFさんは同じメンバーでも、総務部では上司と部下の関係だ。 このように上司だからといってリーダー、マネジャーをやる必要はなく、チームの形態によって役割は変わってくる。 では、上司は部下の教育係なのかというと、そうとも限らない。「上司のほうが優れている」という時代は終わった。