Bloomberg

（ブルームバーグ）： 電気自動車（ＥＶ）の失速が指摘される中、ホンダは16日、ＥＶに向けた取り組みをさらに強化させることを発表した。「ＥＶシフトを確信」しているとし、電池生産や製造コスト削減などを進め、2030年度までの電動化やソフトウェアなど成長領域への資源投入の累計は10兆円を見込む。

ホンダの発表によると、主力のＥＶシリーズ「ホンダ０」で30年までに小型から中大型モデルまで世界で７車種を投入するほか、25年度中にモバイル電池パックを搭載した超小型モビリティを日本で投入する。

ホンダはＥＶの本格普及期と位置付ける30年度までの10年間で電動化やソフトウェアなどに約10兆円の資源投入を計画。競争力確立に向けて北米で調達する電池のコストを現行比で20％以上削減するほか、生産コストの35％削減を目指す。30年時点で世界販売に占めるＥＶとＦＣＶの比率は40％を見込み、200万台以上のＥＶを生産する計画という。

世界各地でＥＶの基幹部品である電池の生産も強化し、20年代半ばまでに中国や欧州で現地の協業先と電池生産を開始。車載用電池のコストは20年代後半までに20％削減を目指すという。

急成長してきたＥＶは各国政府の補助金縮小や需要の一巡などを背景に販売拡大ペースに減速感も出ている。ホンダはこうした声があることを認めながら、長期的視点では「ＥＶシフトは着実に進んでいくと確信」しているとし、20年代後半以降に訪れる普及期を見据えた中長期的な視野でＥＶでの強いブランドや事業基盤の構築を進める狙いがあるとした。

成長領域に投じる10兆円の内訳はソフトウェア関連の研究開発支出向けと米国やカナダ、日本でのＥＶのバリューチェーン構築に関する費用がそれぞれ約２兆円。残りがＥＶ専用工場を含む生産や開発領域への投資や支出となり、ＥＶの軽量化や知能化に取り組む。積極的な投資の一方で株主還元との両立も進めていくとした。

(c)2024 Bloomberg L.P.