103万円の壁を巡る協議決裂で来年度予算の成立難航も:与党は税制改正大綱決定へ
今度は来年度予算が交渉材料に
「年収103万円の壁」見直しをめぐる協議が決裂したことで、国民民主党は、このままでは「2025年度の税制改正関連法案や政府予算案に賛成できない」としている。補正予算に代わって、今度は来年度予算を人質にとり、与党に「年収103万円の壁」見直しの国民民主党案を受け入れさせる考えだろう。 こうした情勢が年明けまで続き、来年度予算の成立が遅れれば、予算執行への支障から、経済活動にも悪影響が及ぶとの不安が金融市場や国民の間に広がる可能性があるだろう。仮にそうした事態になれば、日本銀行が追加利上げを見送らざるを得なくなることも考えられるところだ。 (参考資料) 「国民民主、「103万円の壁」上げ協議「打ち切り」 首相は継続意欲」、2024年12月18日、日本経済新聞 「3党税調幹部:「年収の壁」国民協議退出 自公は継続求める 3党税調幹部」、2024年12月18日、毎日新聞 「防衛費 安定財源に懸念、所得増税時期 決定先送り 法人・たばこは26年4月 自公合意」、2024年12月14日、日本経済新聞 「学生年収の壁 150万円で調整 特定扶養控除、国民案のむ」、2024年12月13日、産経新聞 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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