阪神・才木 母に贈る128球!悪夢振り払う魂の完封劇 首位再奪取の立役者に 「九回でも余力」将の助言生かす
「DeNA0-1阪神」(12日、横浜スタジアム) 7点差大逆転負けの悪夢を振り払う魂の完封劇だ。阪神・才木浩人投手(25)が今季最多の128球を投げ、9回4安打無失点で今季2度目の完封勝利。リーグトップタイの4勝目を挙げ、巨人から首位の座を奪い返した。バットでも三回2死から四球を選び、中野の適時打で二塁から決勝のホームを奪い取った。横浜で迎えた母の日に笑顔が咲いた。 【写真】「お母さんありがとう!」カーネーションを手に♥マークする姿にキュン 何度も気迫があふれた。拳を握り、力強くほえる。悪夢を払拭した今季最多の128球。才木がチームを救い、首位の座を奪い返した。 「昨日の展開の後だったので。きっちりいかないといけないと思っていた。良かった、こういうピッチングができて」。11日・DeNA戦は7点差を守れず逆転負けを喫したが、三回2死では四球を選び、中野の適時打で決勝の本塁に生還した。投打で最悪の流れを断ち切る自身4度目の完封だった。 最大のピンチは七回だった。無死から宮崎に左前打、牧には四球で無死一、二塁。11日に決勝弾を許した筒香を迎えた。「梅野さんが『内角に真っすぐを思い切っていけ』って、そういうサインを出してくれたので」。1ストライクから150キロを内角高めへ投じて二ゴロ併殺。「あれが今日の一番のプレーだと思う」と振り返った。 続く桑原の二ゴロは飛びついて捕球しようとした。届かずマウンドに膝をついたが、中野が処理するとグラブをたたいた。八回2死では代打・度会の3球目にこの日最速の153キロを計測。「九回でも余力が残っていた」。気合と成長を見せ、リーグトップタイの4勝目をつかんだ。 今季は開幕2連敗で迎えた3月31日・巨人戦で6回無失点。白星は逃したが、チームの初勝利に貢献した。4月14日・中日戦、5日・巨人戦でもチームの連敗を止める勝利を挙げている。岡田監督は「負けた後、結構、才木で勝ってるよ。才木さまさまよ」とたたえた。 指揮官の助言も生きた。前回5日・巨人戦は5回2失点ながら84球で降板。五回に下位打線を簡単に追い込みながら出塁を許して失点した。その後、ベンチ裏で岡田監督から「先に勝負してもうたらええやん」と直接、声をかけられた。「警戒してカウントを悪くするぐらいなら、直球で突っ込んでいいなと思った」と、状況や相手打者を見る必要性を再確認した。 この日は初回の佐野、宮崎は2球で追い込むと3球目で打ち取った。六回2死も佐野に3球勝負で一ゴロ。「カウントを有利に進めることだけを意識していた」。走者がいない場面では強気に攻めて優位に立ち、4安打しか許さなかった。 母の日での登板。用具メーカーが準備したピンクのスパイクなどを使用した。「いいピッチングができたことが一番良かった」。1人暮らしをしているため、今も作り置きの手料理を準備してくれる母・久子さんへの感謝を表現する快投でもあった。