DPワールドツアー初優勝! 星野陸也のスウィングをAIで分析
スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎に先週のDPワールドツアー「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」で参戦2年目にして欧州ツアー初優勝を果たした星野陸也のスウィングを解説してもらった。
柔軟性を活かしたワイドスタンスのアドレスとバックスウィング
この記事をご覧の皆様、こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はDPワールドツアーの「カタールマスターズ」で優勝しました星野陸也選手をスポーツボックスAIで分析しました。 星野選手のスウィングは、ワイドスタンスを生かした左右の体重移動と捻転差が特徴です。今回はその体重移動に関連する項目「SWAY(左右の移動)」のデータを中心にチェックしてみましょう。 まずアドレスで特徴的なのがスタンスの広さ。肩幅以上に広いスタンスを取ることで、ホリゾンタル(左右の体重移動の動き)が入りやすくなり、また胸と骨盤の捻転差が大きくなります。身体が柔軟な星野選手ならではのアドレスです。
次にバックスウィング(P3)を見ていきます。P3(腕が地面と平行のポジション)の特徴は2つあり、ひとつ目は「頭が右に回転する」点で、P3の時点でキャップのつばがかなり右を向いています。この動きによって体の回転が非常に深くなり、星野選手ならではの大きなトップに繋がります。もうひとつは「右足に体重をしっかり乗せている」点です。バックスウィングで胸は最大で-7.6cm右、骨盤は最大で-7.2cm右と、いずれも右足寄りに移動していることが分かります。ただし右へ移動し過ぎる「スウェイ」になっていません。それは、「トップでは既に左足に体重が乗り始めている」ことがポイントになります。
右から左への体重移動と、胸と骨盤の捻転差が大きいトップ
トップでのデータを見てみましょう。胸はトップで-5cm、骨盤がトップで-5.8cm右と、それぞれP3に比べてマイナスの数値が減り始めている=左に戻り始めていることが分かります。これはスポーツボックスAIで統計を取ったすべてのツアープロの特徴で、星野選手のように左右の体重移動が大きい選手も例外ではありません。また頭が右に回転するバックスウィングに伴って、胸の回転量は-108°と右に大きく回っています。ただ骨盤は-45度右と回転量は抑えられており、柔軟な上半身とワイドスタンスによる胸と骨盤の捻転差が大きいのも特徴です。 右から左への体重移動に関してですが、右にスウェイして打点が安定しないアマチュアの方は、テークバック~トップにかけて右足に体重が乗り続けてしまい、左に移動し始めるタイミングが遅れます。こうなると右への体のスウェイに繋がってしまいますので、星野選手のように早めの左への移動を心がけると右スウェイ防止に効果的です。