CB400SF愛が止まらなくなる“ハイパーVTEC”の魅力とは?【「ンバアァァ!」の快感を考察&解説してみた】
ハイパーVTECの快感、その正体
なんとなく機能がわかっても、ハイパーVTECがなぜ「気持ちいい」と評されるのかは、ちょっとわかりにくいですよね。このへんを考察してみましょう。 ハイパーVTECがもたらすのは、ただの性能向上ではなく、切り替えの瞬間に“唐突にやってくる”ライディングフィーリングそのものの変化です。「ハイパーVTECは燃費とパワーの両立を実現」するのですが、それはあくまで性能面でのおハナシ。フィーリングはまた別の話です。 回転数が上がったときにハイパーVTECが作動して、バルブの開閉が切り替わるその瞬間、エンジン音が変わり、回転の伸びが増し、パワーの出方も変わる。このエンジン回転数がギュン! と伸びて排気音が一段甲高くなる瞬間、「ンバアァァ!」という音で表現される感覚こそが、多くのライダーにとってハイパーVTECの最大の魅力となっているのです。 このフィーリングは、かつてのターボエンジンが生み出す「ドッカンパワー」や、レーサーレプリカ全盛期の2ストロークエンジン特有の「パワーバンド」に入った瞬間の感覚に似ているかもしれません。しかし、ハイパーVTECはそれらとは異なり、ピーキーな特性を持たず、下から上まで扱いやすい特性を持ちながらも、明確な「境界線」をライダーに感じさせてくれるのです。 気持ちいい、快感・・・いや、ここはあえて「官能的」と言わせてもらいましょうか。この点が、ハイパーVTECが長年にわたり愛され続けている理由なのではないでしょうか。
ハイパーVTECを楽しめるシーン
CB400SFの400ccエンジンともなると、一般道でそのフルパワーを試すのは現実的には難しいところです。1速でもしっかり回せば、法定速度を超えてしまうほどのパワーを持っているぐらいなので、全開走行=免停まっしぐら。 しかし、ハイパーVTECの切り替わる瞬間を楽しもうと思えば、日常の走行シーンでも十分可能です。信号待ちからのゼロ加速でも、7000回転以上でシフトアップにすれば、何度でも楽しめてしまうのがハイパーVTECの魅力。高速道路の加速車線ともなれば、一般公道より上のスピードレンジで、「その瞬間」を存分に味わうことができて、さらに爽快な走りを楽しめます。 もちろん、エンジンをレッドゾーン手前まで回して楽しむのもひとつの方法ですが、レブリミット半分の回転数でも、十分に楽しめるのがハイパーVTECの大きな魅力です。ひょっとしたら開発のきっかけも、そんなところの狙いがあったのかもしれませんね。 もっとも、CB400SFのインジェクション化と同時に2007年から採用された、ハイパーVTECレボとなってからは、あえて切り替えのタイミングをスムーズにして、わかりにくくする調整がなされています。明確に「変わった!」という感覚を味わいたい方は、キャブレター時代のモデルを選ぶと良いかもしれません。