XJ、その2代目【1】1968年誕生。1986年にフルモデルチェンジし1994年にビッグマイナーしたXJ
1986年、ジャガーは68年以来長らく延命させてきた同社の基幹サルーン、XJシリーズをフルモデルチェンジ、いわゆる「XJ40系」となる。ところが発売当初こそ好意的評価を得たものの、信頼性不足やボディーデザインの旧態化もあり、90年代に入ると人気も低迷。「ブリティッシュネス」を旗印に英国の伝統への回帰を図ろうとしていた時代の要請に応えるべく、94年には再び大規模な変更を受けた新たなXJサルーン、X300シリーズへと進化を遂げることになった。 >> 【画像16枚】英国伝統の様式美が、再び世界のカーマニアたちの注目を浴びつつあった1990年代。 この時代に登場したジャガーの高級サルーン、X300系XJ6は、 クラシカルな内外装と、この時代における最新のテクノロジーの完全両立に成功していた。XJ40から採用された特徴的な一本式ワイパーは、X300および後継のX308系でも採用。テールのスタイルも初代XJを彷彿とさせるものとなる。アロイホイールは数種のデザインが用意されたうち、こちらは「キーウィ」と呼ばれた X300系のボディー/シャシーは、XJ40をベースに90年代最新のテクノロジーをもって全面リニューアルを図ったもの。この見直しで剛性/フィニッシュともに、この時代の一線級レベルに達することになる。これらの新方針は、ハチマル時代の日本に出現した高級サルーンの新基準、レクサスLS400/トヨタ・セルシオが巻き起こしたショックの影響を明らかに受けたものとも言われる。それを裏付けるかのように、信頼性向上のために電装系の多くを日本電装(現在のデンソー)製に変更。また日本製プレス機器の導入により、外板のクオリティーも大幅に向上したとされているのだ。 また、改良の手はパワーユニットにもおよび、XJ40に搭載されていた新世代エンジン、直列6気筒DOHC24バルブの「AJ6」型から基本的な部分は踏襲するものの、実質的には90年代のパワーユニットとして、ほとんど新設計された「AJ16」ユニットに換装される。ベーシック版は3239㏄の排気量から215psを獲得。上級に当たる4ℓ版は、3980㏄で245ps。さらにジャガーの量産モデルとしては初となる過給エンジンを搭載するXJR4.0スーパーチャージドには、米・イートン社製スーパーチャージャーが装着され325psをマークした。 このように、90年代最新の高級車として誕生したX300系XJだが、レトロないしは自社の傑作へのオマージュという現在のトレンドを先取りするように、ヘッドライト周辺のスタイルなどは先々代XJ6に似せられることになる。これは89年にジャガー車を買収した米・フォード社の意向も強く反映していたとされる。またジャガーのもう一つの魅力、豪華な内装もブラッシュアップ。ウッドトリムとコノリー社製レザーハイド、高級ウールツィード、ウィルトンカーペットなどがぜいたくにおごられていたのだ。
Nosweb 編集部