『おむすび』結の自己肯定感を支えるギャルマインド 着メロに隠されたメッセージとは?
「お前の彼女に話がある」 『おむすび』(NHK総合)第54話では、結(橋本環奈)が星河電器のエース・澤田(関口メンディー)に呼び出された。 【写真】巨人に入団した先輩の澤田(関口メンディー) 社会人注目株の澤田は、その年のドラフト会議で巨人から指名を受けた。一方で、結は11月になっても内定が出ず、悶々としていた。翔也(佐野勇斗)に連れられて星河電器を訪れた結は、澤田から社員食堂で働かないかと誘われる。 以前、澤田は野球部選任の栄養士を要望したが断られた経緯がある。指名後にあらためて相談したところ、社員食堂の栄養士なら雇えることになった。ただし、予算の都合上、若手の栄養士に限られた。澤田は、翔也の活躍が結の栄養管理のおかげであることを知っており、結に白羽の矢が立った。 願ってもないオファーを一も二もなく受けると思われた結は、迷っていた。翔也のコネで就職するのはずるくないかと気にしていたのだ。聖人(北村有起哉)も「彼氏のいる会社に入ろうという考えは甘い」と否定的な態度をとる。 そんなとき、ルーリー(みりちゃむ)たちが神戸にやってくる。久しぶりに集まったハギャレンの仲間に結は悩みを打ち明けた。タマッチ(谷藤海咲)やスズリン(岡本夏美)は知り合いに仕事を紹介してもらったと話し、ルーリーは、翔也を支えたくて栄養士になったのだし、彼氏のそばにいて、自分の技能を生かして支えることができ、給料ももらえるから一石三鳥と喜んだ。 それでも結がためらうのは「甘えとう気がして」いるから。それに対して、ルーリーは甘えていいし、オファーされたのも結が信用されている証拠と語る。ハギャレンのメンバーに声をかけたのは愛子(麻生久美子)で、渦中の娘を気づかう配慮がさりげなかった。
観ている側としては、もっとガツガツ行ってもいいのにと歯がゆい思いを抱きつつ、結のジレンマも理解できる。コネや世襲はネガティブなイメージがあるし、就職してから嫌な思いをするかもしれない。結の中にある公正さが顔をのぞかせる一方で、他人の目を気にするところや自己肯定感の低さが、大事なところで出てきてしまうと感じた。 逆に言うと、そんな結だから人生を肯定するギャルマインドが刺さるのだろう。結の携帯の着メロは安室奈美恵の「Baby, Don’t Cry」だった。〈そうだからBaby悲しまないで/考えても分かんない時もあるって/散々でも前に続く道のどこかに/望みはあるから〉という歌詞は、就活で心が折れそうな結を支えたはずだ。 ちなみに、不倫疑惑の森川(小手伸也)の着メロはつのだ☆ひろの「メリー・ジェーン」。愛する人への思いを切々と綴った歌詞は失恋のフラグのように思われるが、はたして。
石河コウヘイ