遥月ちゃんを抱く文田（左）と有美さん

　ミキハウスに所属するパリ五輪代表選手らの合同取材会が２６日、東京都内であり、東京五輪レスリング男子グレコローマンスタイル６０キロ級銀メダリストの文田健一郎（２８）が「世界一強いパパになる」と自身初となる金メダル獲得に向けて強い意欲を口にした。 　文田には昨年、第１子となる長女の遥月ちゃんが誕生。７月開幕のパリ五輪は父親になって初めて迎えるオリンピックとなる。「今までは自分がただ勝ちたいというモチベーションだったが、今は妻と娘の前で負けたくないという思いで戦っている」。自分以外の存在のためにもレスリングと向き合うようになった。 　パリ五輪で期する思いは強い。地元開催だった２０２１年の東京五輪。「金メダル獲得が当たり前」と出場したが決勝でまさかの黒星を喫し、大会後は抜け殻となった。後に妻となる有美さんと一週間ほど「やけ酒生活」を送り、体重も７４キロを超えた。その後は２人で２週間ほど車で国内旅行。名古屋や京都、ＵＳＪや四国、九州…。自宅に戻るころには徐々に再び競技に戻る気持ちを取り戻した。 　「こんなにレスリングから離れたのは初めてだった」。東京五輪から約３カ月を経て、再びマットに戻った。２２年には有美さんと結婚し、食事面でも強力なサポートを受ける。体重管理も重要な競技で脂質、糖質、カロリーが計算された料理に支えられている。最近は高野豆腐でかさ増しした野菜たっぷりのチャーハンがお気に入りだという。 　パリには有美さんと１歳になった遥月ちゃんも応援に来る予定。心強い味方とともに臨むパリ五輪。「妻も毎日戦ってくれている。金メダルを取って『いつもありがとう』と伝えたい」。花の都で今度こそ、祝杯を挙げる。