“好きなことを仕事に”で陥りがちな、副業の意外な落とし穴
経済的理由から副業する人もいる
もちろん、複数の仕事を掛け持ちしているカナダ国民の中には、賃金の低迷や、生活費の上昇、雇用の不安などの要因から、やむを得ずそうしている人もいる。トロントで通信関連の仕事をしている20代のリサ(仮名)は、2つのパートタイムの仕事とフリーランスの仕事を両立させている。「私はどちらの仕事も大好きなので、ありがたいとは思ってる」と彼女。「だけど、もっと安心できてワークライフバランスが得られたら良いのに、と思います」 リサは仕事を楽しんでおり、多少の自由度はあるが病気休暇や普通の休暇は取っていない。「病気になったり予期せぬ医療費がかかった場合に、お金が払えなくなるのが怖いため、常により多くの仕事やより多くのプロジェクトを引き受けなければならないという焦りがあります」
若い世代で蔓延する“十分ではない”という焦りの感情
副業を実践している人の多くはキャリアアップや潜在的な雇用主に注目してもらいたいなど、金銭的要因以外の動機を持っていることが多い。 バンクーバーを拠点とするキャリアコーチ兼コンテンツクリエーターのエミリー・レズカラは、「20代の人々は仕事が1つしかないと遅れを感じ、就職市場で一定レベルを維持するにはもっと経験が必要だと考えている」と話す。
複数の仕事を掛け持ちするのは至難の業
フルタイムで働きながら副業でフリーランスのコンサルティングをしつつ修士号を取得したレズカラは、経済的理由や興味の探求からこれまでの人生のほとんどで「2つから3つの仕事を掛け持ちしてきた」と語る。「友人に『何かを手放さないと』と言われました。4カ月に1回は燃え尽きていたと思います。複数の仕事を掛け持ちしていれば、燃え尽きないはずがありません」
ストレス管理がカギとなる
自身の経験から、レズカラは慢性的な過労に対して「自分がやりたいことと合わなくなったものは切り捨てて」とアドバイスする。「自分の価値観と最悪のシナリオを考えてストレスを管理することが大切です」 今年初め、レズカラはついに本業を辞め、キャリアコーチとしてフルタイムで働くことになった。フリーランスとして2年半働いてきた彼女にとっても、踏み出すのは大変なことだった。しかし、新しい生活がどのようなものかを想像することで、物事が思い通りにいかなくても自分は大丈夫だと認識することができ、それが最終的に行動を起こす後押しとなったという。