国民民主はなぜ強い?SNSが原動力か【与野党デジタル戦略をデータ分析】
自民・公明両党が過半数を割り込んだ一方で、野党が大幅に議席数を伸ばした第50回衆院選。 【全画像をみる】国民民主はなぜ強い?SNSが原動力か【与野党デジタル戦略をデータ分析】 各政党と立候補者SNSアカウントを調査してみると、「野党の躍進」の背景には、巧みな「デジタル戦略」があったことが浮かび上がってきました。 中村佳美…ネットコミュニケーション研究所代表。国政選挙や地方選挙、米国大統領選などで候補者や政治家のTwitter、Facebook、Instagram、YouTubeなどを中心としたデータを収集し分析、主にパブリック現場(政治・行政など)のデジタルPR戦略・SNS活用などのデータ分析を手がける。
自民は「攻めない」SNS、公明はLINE戦略も……
自民党はコンテンツに応じてXやFacebook、YouTubeを使い分けるオーソドックスな選挙戦を展開しました。演説動画をYouTubeのショート動画として投稿するものの、カジュアルなコンテンツは控えめで、SNSでの拡散力を強化するための支持者が簡単にシェアできる公約・政策のバナーコンテンツ(具体的な政策や写真・イラストを、選挙ポスターのように視覚に訴える形でデザインしたもの)を用意したり、長尺の動画CMなど「既存のSNS戦略」に重きを置いていました。 「裏金問題」による自民不信の高まりを意識してか、小選挙区制での地上戦を重視し、SNSでも保守的な戦略ににとどまった印象です。 一方、公明党はSNS戦略において、特にLINEとショート動画の活用に力を入れていました。具体的には、全国の立候補者の中でLINEの「友だち」数上位11名すべてを公明党候補が占め、特定の支持者との直接的なつながりを強固にしています。 YouTubeでも高視聴数を記録し、一定の支持層への浸透には成功しているものの、結果として議席は減少し、新たな支持層の拡大には繋がらなかったと思われます。
れいわは「街頭スピーチ配信」でアピール
今回の衆院選は、野党がデジタル戦略で大きな成果をあげたと言えます。 立憲民主党はショート動画の活用や、立憲民主党の衆院選特設サイト「りっけんギャラリー」と称したページには女性・若手議員の候補者似顔絵バナーなどの幅広い拡散可能なコンテンツを展開しました。 また他党では、参政党、国民民主党、れいわ新選組の3党が動画コンテンツで高い視聴数を記録しています。 なかでも、公示前の7議席から4倍の28議席に伸ばした国民民主党は「YouTubeライブ視聴数」がトップでした。また、参政党は若い世代の利用が多いInstagramでのReels(最大90秒の動画)で視聴数トップを記録しています。 公示前の議席数3から9へと議席を増やしたれいわ新選組は、山本太郎代表を筆頭に連日の街頭演説の生配信も行いました。支持者が拡散できるように候補者の演説をバナーにした「スピーチバナー大作戦」などの拡散コンテンツを用意していました。