【M-1グランプリ2024"敗者復活戦"展開大予想②】決勝進出コンビ8組的中!「編集者の阪上」さんのロジック予想
シシガシラ(吉本興業) ところでシシガシラが敗者復活を勝ち抜いたことについて、昨年のM-1後に「カメラアングル論争」が起こったことを覚えていらっしゃるでしょうか。 シシガシラの浜中さんが脇田さんのハゲをイジった瞬間、舞台の2人を映していたモニターが脇田さんの頭のアップ(浜中さんがハゲ頭を見つめる視点)に切り替わり、その画角の面白さゆえに爆笑が起こった――カメラアングルによって笑いが増幅されたもので、シシガシラに有利に働きすぎたのではないか......? という論争です。 歴代のM-1王者の一人も「さすがにあのアングルはよくなかった(他のコンビがかわいそう)」と声を上げたので、今年からアングル笑いはなくなるでしょう。しかし、アングルだろうがなんだろうが大きな笑いを生んだシシガシラが勝ち抜けたことで、結果的に「敗者復活では、あの広い会場で隅々まで笑いを届けるパワーのあるコンビが強い」ことが示されたと思います。 NON STYLEの石田さんが今年出版した『答え合わせ』(マガジンハウス新書)のなかに、敗者復活についてのこんな一節があります。 <(敗者復活では)「会場のウケ方」も見過ごせません。一番ウケていたというのは、その日、もっとも会場を支配できていたということであり、やっぱり、そういうコンビが強いんです。その点でも、シシガシラが他より上回っていた。(中略)会場のウケ方がダイレクトに結果に影響したといっていいでしょう> 会場全体隅々にまで笑いを響かせる、問答無用のパワーを持ったコンビ。これが、敗者復活を勝ち抜くための大切な要素になるだろうと思います。 続いて②の「これまで決勝に進んだことのないコンビ」ですが、昨年の敗者復活で驚いたことは、トム・ブラウン、ロングコートダディ、オズワルド......といったファイナリスト経験組がひと組も各ブロックを勝ち抜けなかったことです。 従来の敗者復活の「視聴者投票システム」では、良し悪しはともかく人気があるコンビ、知名度があるコンビが上位に来がちで、ゆえに「歴代ファイナリスト」が上位戦線に食い込むことが当たり前でした。 ところが昨年の敗者復活、ファイナリスト経験者は誰も残らなかった......。もちろん面白くなかったわけはありません。しかし、敗者復活にやってくるのは「M-1の当日に、お金を払って敗者復活を見に来るお笑いファン」です。「ファイナル経験者」「人気コンビ」であることは考慮せず、フラットな視点で、本当に面白いコンビに投票しようという気持ちで臨むのだと思います。 いやむしろ、決勝を経験していないコンビを敗者復活から送り出したいという気持ちすらあるのではないでしょうか。それがラストイヤーのコンビ(昨年であればヘンダーソン)ならなおさらだと思います。