勝者なき臨時国会が閉会 補正予算と政治改革法案で与野党痛み分け チキンレースの様相
臨時国会は24日、与野党痛み分けで幕を閉じた。自民党は、不成立なら政権が倒れかねなかった令和6年度補正予算と政治改革関連法を成立させたが、その代償で野党に譲歩を重ねた。立憲民主党や国民民主党なども勝ち取った成果はあったが、主張を通し切れなかった。 国会閉会日も「勝者なき国会」の光景だった。 国民民主の看板政策「年収103万円の壁」の引き上げ幅などを巡る自民、公明、国民民主の交渉。24日には3党の政調会長と税調会長による協議が予定されたが、前日に自民側から宮沢洋一税調会長の都合がつかないためキャンセルの申し出があり、延期になった。 「与党で決まったのは123万円。越年での協議になるが、私たちに期待する皆さんの思いを実現する道は始まったばかりだ」。178万円という要求を通し切れなかった国民民主の古川元久代表代行は24日の党会合でこう強調したが、肩透かしを食らった格好だ。 自民側にも、国民民主の強硬姿勢への不満が渦巻く。ただし協議が決裂すれば、来年1月召集の通常国会で国民民主の協力が得られない。両党によるチキンレースの様相になっている。 立憲民主は、衆院採決前に補正予算を修正させた。補正予算の審議過程での修正・可決は前例がなく、手柄といえるが、政治改革関連法を巡り、対与党の本丸だった企業・団体献金禁止を実現できず、アピールに失敗。報道各社の世論調査の多くで政党支持率が国民民主に逆転された。 目立ったのは少数与党の政権運営のもろさだ。 衆院で過半数に満たない分を野党の協力で補い、補正予算を成立させるため、「壁」引き上げなど国民民主の減税政策と、日本維新の会が求める教育無償化に向けた協議体の設置という交換条件をのんだ。企業・団体献金は死守したが、例外的に支出相手を非公表にできる「公開方法工夫支出」創設は野党の猛反対で撤回した。 「野党のどこかの協力を得なければ法律も予算も通らない。本当に薄氷を踏む思いで、綱渡りの国会運営をしなければならない」。自民の鈴木俊一総務会長は24日、苦境をこう表現した。(田中一世、永原慎吾)